厚生労働省によると、令和3年1月にホームレスの自立支援を目的に全国調査が行われました。
この調査は今回で16回目となるようです。
厚生労働省による調査結果
調査の結果は以下と公表されています。
- ホームレスが確認された地方公共団体は、250市町村で前年度と比べて5市町村減少した。
- 確認されたホームレス数は、3,824人(男性3,510人、女性197人、不明117人)で前年度と比べて168人減少した。
- ホームレスが最も多かったのは、大阪府990人で次いで東京都862人、神奈川県687人であった。
- ホームレスが確認された場所の割合は、公園25.5%、河川23.9%、道路20.3%、駅舎5.6%、その他施設24.7%であった
厚生労働省の調査結果から分かること
・過去4年間でホームレス総数が1,710人減少(31%減)
・大都市に集中して多い
・公園、河川での確認が半数
・ホームレスが確認されなかった地域は、青森県、秋田県、山形県、滋賀県、奈良県、島根県、山口県
日本国内のホームレス自立支援は、直近数年間の減少数でも取り組みが順調に推進されていることが分かります。
ただし、一方で若年層のホームレス問題については、これから取り組みを強化する課題があると考えます。
上記のホームレス自立支援を目的とした実態調査は、その方法が各市町村の「目視」による調査のため、把握しきれない部分もあるのかと思います。
例えば、若年層のホームレスは、「ネット難民」という言葉が流行ったように、ネットカフェを利用しているケースもあります。
また、最近では「東横キッズ」という言葉が話題になったように、繁華街の路上で仲間で助け合って生活をする若者も存在します。
実態調査では、そういった事までの詳細は報告されていませんので、把握されていない可能性があります。
実際、ネットカフェなどに入り、目視だけで実態を確認するのは不可能でしょうし、繁華街でも会話をしなければ遊びに来ている若者との区別は困難かと思われます。
ホームレスになってしまう原因
厚生労働省の過去の発表によると、ホームレスになってしまった原因が以下とされています。
【男性の原因】
- 「倒産や失業」27.6%
- 「仕事が減った」26.5%
- 「病気・けがや高齢」17.4%
- 「人間関係」17.0%
【女性の原因】
- 「家庭内のいざこざ」18.9%
- 「アパート等の家賃が支払えなくなった」13.2%
仕事などによる経済的な原因であったり、家庭問題などの人間関係が原因とするものが大半です。
ここで、私が疑問にもったのが、「なぜ、ホームレスの人たちは生活保護を利用しないのか?」ということです。
日本国内には「生活保護」という、国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する制度があります。
寝食に困るぐらいなら、生活保護を利用した方が生活を立て直す意味でも良い訳です。
しかし、その選択をしないというのには、何か理由があるのではないかと思うのです。
私が仮説として思っているのは、「依存症が原因としてある」のではないかということです。
例えば、私はギャンブル依存症者ですが、仮に一人で生活をして金銭管理まで一人で行わなければならなくなったら、恐らく破綻する可能性が大きいと考えています。
少なくとも、専門医院でギャンブル依存症回復プログラムを受ける以前であったならば、間違いなくその条件であれば破綻していたと自覚しています。
ギャンブル依存症、アルコール依存症、薬物依存症は、日本国内でも認定された病気であり、セルフコントロールは極めて難しく、適切な処置と適切な環境選び、周囲の病気への理解が必要とされています。
依存症の人が何のサポートもないまま、金銭だけを受け取った場合、その金銭は依存対象に使い込んでしまう可能性が極めて高いのです。
つまり、ホームレスの人たちの中には依存症者がおり、その人たちは生活保護で金銭を受け取った所で問題は解決しないという事を理解しているのではないかと思うのです。
その罪悪感や自己否定、周囲の失望の眼差しを受けるぐらいなら、ホームレスという選択の方が遥かに精神的には良いと感じているのではないかとさえ思います。
様々な支援活動
日本国ではホームレスの人たちへの様々な支援活動が取り組まれています。
- 炊き出し支援
- 衣類や生活用品等の寄付
- 自立支援、就労支援の相談
- NPO団体によるパトロール
市民のボランティア活動やNPO団体による支援活動も多く行われているようです。
私は、その一環として「依存症回復プログラム」に繋げる取り組みを望んでいます。
ここ数年で依存症は病気であるということが少しづつ認知されつつありますが、まだまだ依存症問題については無理解の方が多く、
「自分に弱いだけだ」
「自己管理ができないだけだ」
という医学的根拠のない言葉で切り捨てられるケースがあります。
依存症者はその言葉を幾度となく言われてきたし、自分自身で責めてきた経緯があります。
だから、他人に自らが依存症者であることを安易に話すことはありません。
ホームレスの人たちの中に依存症で苦しんでいる人がいるならば、依存症回復プログラムによって人生が開ける可能性が十分にあるのです。
まとめ
社会に出て間もない頃、職場から最寄りの駅に歩いていると、頻繁に出会うホームレスの人がいました。
私はふと、「いつか自分もこうなってしまうのではないか・・・」と脳裏をかすめたのです。
しかし、「いや、自分はこうして安定した会社で働いているし、大丈夫だろう」と、その予感のようなものを打ち消すように言い聞かせていました。
ところが、それから10年も経たないうちに、私はいつホームレスになってもおかしくない程の状況に陥っていきます。
原因はパチンコ・パチスロというギャンブルでした。
多額の借金を重ね、精神的にも衰弱し、仕事も辞めざるを得ませんでした。
ほんの僅かな差で多くの人に守られ、ホームレスになることは免れましたが、ギャンブル依存症者である私は、一生この病気と向き合わなければならず、油断すればそうなる可能性は十分あります。
ボランティア活動をされる方々やNPO団体の献身的な活動に敬意を表しつつ、個人的な経験をもとに意見を述べさせていただきました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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