1パチ、5スロはリハビリにはならない【ギャンブル依存症体験記 第50話】

https://ganbulingaddiction.com/2022/01/18/story50/依存症体験記

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【前回の内容はこちら↓】

一時期、パチンコ・パチスロ依存症の克服のために、5円スロットや1円パチンコを打つことがあった。

その時感じた事は、「なんて劣悪な環境なのだ…」ということだった。

パチスロのメダルやパチンコの玉は、経費削減のためか、よく洗浄されてなく、手が汚くなるし、手に痒みされ覚えることもあった。

台と台の間隔は狭く、当時は店内喫煙可能であり、台と台の間の仕切りもない所もあったので、タバコの煙がきついと感じることもあった。

パチスロの設定は①の据え置きばかりでパチンコの釘はガチガチ、「4倍遊べる」という煽り言葉を素直に受け入れることは出来ない状況だった。

そして、何よりも胸を痛めたのが、決してパチンコ店に歓迎されていないという印象を受けたことだ。パチンコ店にもヒエラルキーが存在するのだろうか、店員の私への応対は爆裂投資をしていた頃とは打って変わり、どこかぞんざいに扱われているようにも思えた。

目は蔑むようにも見えたし、店内を歩いていてもお辞儀すらされないようになった。なけなしの金で静かに低貸しのギャンブルをしているだけなのに、どこからか「何やってんだよ!前みたいに爆裂投資しろよ!」という店員の声が幻聴のように聞こえることもあったのだ。

確かに単価の安い客だ。パチンコ店としても、1パチや5スロの客だけでは売上も激減し、採算が合わない店も出てくるのかもしれない。

だが、出玉も期待できず、打つ環境は最悪、接客でも差別を受けるという劣悪なアミューズメント、エンターテイメントがどこにあるだろうか。

その頃は、パチンコ・パチスロ依存症のリハビリなのか、あるいは、もはや低貸でしか打てない経済状況なのか、1パチ、5スロのコーナーに多くの客が集まっていた。

パチンコ店も設置台を意図的に少くしているのか、需要過多で台なんて選べないし、ハイエナをする人間も滅多にいない。新台も低貸しコーナーに即導入される事なんて皆無で、多くのユーザーは、設定もない、釘も悪い台に向かって、決して表情を変えることなく黙々と作業のように打っていたことが今でも脳裏に焼き付いている。

儲けようなんて1ミリも考えていないのかもしれない。その日に、今この瞬間にパチンコ・パチスロが打てていればそれで良いという心境なのかもしれない。

確かに、私も5スロや1パチを打っていた時は、好きな機種でも狙い台でもなく、ただ、打たないでいると憂鬱な気分が晴れないという理由だけで打っていた。経済的に大きな打撃さえ受けなければ、低貸しでいいじゃないかと自分に言い聞かせていたのだ。

だが、ギャンブル依存症者の思考は怖いもので、低貸しコーナーで偶然、大勝して数万円もの金を手にした途端、その金を20円スロット、4パチコーナーにぶち込んでしまうという失態を犯してしまう。

そして、そこから最悪の負のループに舞い戻ってしまうことさえあるのだ。

結局の所、ギャンブル依存症者が低貸しのパチンコ・パチスロでリハビリをするという事は、経済的には多少の軽減にはなるが、ギャンブル依存症者特有の習慣や思考が改善されることはないので、その効果は極めて期待できない。

人生での限りある時間は失うし、友人関係、家族関係、信頼、信用、仕事への影響、生活への影響、そういったことは、例え低貸しであったとしても、ギャンブル依存症である限り、同じように失われていく。

風営法を改正して、パチンコ・パチスロのレートを引き下げるのは、あくまでこれからのユーザーを救う手立てであり、国内に公営ギャンブルがあり、カジノを誘致するのであれば、段階的にパチンコ店は無くす方向に進むべきだと思う。

2015年に現役警察官が落とし物の現金を横領するという事件が起きた。

理由は「パチンコで給料を使いきってしまったため」だったという。

推測ではあるが、この容疑者は恐らく相当な借金をしていたと考えられる。それもパチンコによる借金。限りなく、ギャンブル依存症の疑いが強い。

パチンコ・パチスロによる借金。パチスロ・パチスロをやりたいが為の犯罪。

これがギャンブル依存症が最終的に行きつく所。

決して貧しい生活であったわけではないだろう。一般的平均以上の給与も貰っていたに違いない。そして、何よりも正義の側に立たないといけない職業でありながら、犯罪に手を染めてしまう。

職業柄、犯罪を犯した人間がどういった扱いを受け、その後どういった道を辿らないといけないかも重々に承知していたことだろう。それでも、正常な判断ができず、衝動に勝つことが難しいのがギャンブル依存症という病気なのだ。

この事件以降、6年以上も経過するがご承知のとおり、パチンコにまつわる事件は後を絶たない。
パチンコが関わる事件・ニュース10選 | ギャンブル依存症体験記と動画紹介ブログ (ganbulingaddiction.com)

2021年に起こったパチンコ関連事件【ニュース】 | ギャンブル依存症体験記と動画紹介ブログ (ganbulingaddiction.com)

公営ギャンブルに関連する事件は聞く事はないのに、なぜ、パチンコ関連の事件は多発するのか。圧倒的に多いパチンコ・パチスロ依存症者のケアと根本的な対策がなされない限り、これからもこういった事件は後を断たないと思う。

国や政府は、年間自殺者、年間行方不明者の動機をもっと深堀して調査してもらいたい。ホームレスの人々がなぜ生活保護を受けずにその選択をしているのか耳を傾けてもらいたい。

国内に320万人いるギャンブル依存症者は、常にそういった事と隣り合わせの状況なのだ。

日本では禁止されている賭博によって、グレーゾーンという曖昧な表現で誤魔化されたギャンブルによって、多くの人間をギャンブル依存症という国内でも認知された病気に罹患させた訳であるのだから、政治が介入して解決に動かなければおかしいのではないだろうか。

2030年には経済成長率で韓国にも抜かれてしまうという日本。

国民の幸福度が先進国の中で最低ランクである日本。

誰が信じてくれるかは分からないが、日本国からパチンコ・パチスロが廃絶されれば、豊かな日本が開かれていくと私は信じて疑わない。

依存症体験記
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