破綻をも目指してもいる深層心理【ギャンブル依存症体験記 第40話】

https://ganbulingaddiction.com/2021/11/21/story40/(新しいタブで開く)依存症体験記

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【前回の内容はこちら↓】

私自身も重度のギャンブル依存症であり、パチンコ・パチスロから離れてた今もその後遺症に悩まされている。

多額のお金を失い、長く務めた職を失い、多くの人の信頼を失い、人生の道を踏み外した。そして、家族にも迷惑をかけ、我が子の将来にさえも不安を与えてしまったのだ。

幾度となくギャンブルを止めるタイミングがあり、その度にギャンブルから足を洗う決意をしてきた。職場が異動となった時、彼女が出来た時、結婚をした時、子どもを授かった時、転職をした時、だが、自分の意志だけでは止めることが出来なかった。

幾たびも「自分は弱い人間なんだ」という答えしか、そこには残らなかった。

あるきっかけで、私は適切な処置を受け、ギャンブル依存から回復してきたが、失ったものはあまりにも大きい。そして、いつ引き金が引かれ、破綻へのギャンブル依存に戻るかの恐怖も自分の中に共存している。

これは依存症という病気に罹患した人であれば理解してもらえるのではないだろうか。

例えば、依存症のカテゴリーでの薬物依存症。覚醒剤に手を出せば、きっとギャンブル依存症者と同じような道を辿るのだと思う。薬物とギャンブルではドーパミンの放出量も差があり、依存度でいえば比較に出来ないのかもしれないが、心の在り様は限りなく似ていると感じる。

newsやTV番組などで見た薬物依存症者は、警察に逮捕された時に「ホッとした」というコメントを度々していたが、私はこの気持ちが理解できる。

「どうにかして止めたい」

と薬物依存症者も毎日のように思っているのだと思う。しかし、自分の意志だけではどうすることも出来ない。そんな時に警察に逮捕される。執行猶予が付かなければ刑務所に入れられ、強制的に薬物から離れることが出来るのだ。この「ホッとした」という気持ちは、その苦しみから逃れられるという気持ちなのだろう。

私も何度か、もうどこからも借金が出来ないという状態になった時、最後の金を失ったパチンコ屋からの帰り道で、いつも以上に夜景が綺麗に見え、気持ちがすっきりとした安堵感に包まれている体験をしたことがあった。それは、きっと、明日からパチンコ・パチスロをやらなくて済むという気持ちだったのだろう。

何度か耳にした、「ギャンブル依存症者は深層心理で破綻をも目指してもいる」というフレーズ。勝ち続けても気持ちよくなれなくなり、負け続けても気持ちよくなれない。破綻寸前でもう一度、ギャンブルに手を出した時に得られる快感は筆舌に尽くしがたいのだ。そしてまた、どこかで破綻を目指していく。そのループは脳が異常な作用をしているためだ。

薬物依存症者は警察が捕まえてくれるが、ギャンブル依存症者は誰も捕まえてはくれない。強制的に止めさせられるという事は、一切の財産を失った時だけだ。

以前の体験記で、年間自殺者の7割~8割が経済苦を理由とするもので、この数字を掘り下げるとギャンブル依存症との因果関係が多く出てくるという持論を述べさせて頂いた。

いうまでもなく、日本国には憲法に保障された生存権があり、生活保護を申請すれば最低限の生活はできる。財産を失い絶望したとしても、そのセーフティーネットがあるから自殺までしなくてもと普通の人は思うだろう。しかし、ギャンブル依存症者が経済破綻して、生活保護受給者となった場合、その最低限の生活費までもギャンブルに注ぎ込んでしまう。セルフコントロールは極めて困難なのだ。

そして、その先にあるのは餓死か、生活保護を受給しないホームレスになるか、自殺なのだ。いずれも、金銭では解決できない苦しみから逃れるためである。

全てを自己責任論で片づけるのならば、薬物だって合法にすればよい。ギャンブルも薬物も他人に危害を与える可能性は十分ある。違法として線引きしているのは、総体的に薬物が国民に与える悪影響が大きいからだろう。

それならば、パチンコ・パチスロというものが総体的に国民にどう悪影響を及ぼしているかの調査を徹底して行ってもらいたいと思うのだ。パチンコ・パチスロが無くなる事によって、あるいは社会保障予算に変化が起きるかもしれない。生活保護費や精神疾患として括られているギャンブル依存症者の医療費である。

国内のパチンコ・パチスロ依存症者320万人。国が動いてくれる事を強く願っている。

依存症体験記
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