借金300万に到達【ギャンブル依存症体験記 第13話】

https://ganbulingaddiction.com/2021/07/20/story13/依存症体験記

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職場からの帰り道のルートを変えて以来、
再び仕事帰りのパチンコ・パチスロ三昧が始まってしまいました。

勿論、負けてばかりで給与では足りず、いつものようにキャッシングの日々、
そんな繰り返しで私の借金はとうとう300万に到達しました。

当時の私の年収からみても、返済するのは難しくなってくる金額です。

さすがにこの時は心が折れ、疲労困憊し、
いつにも増してパチンコ・パチスロを辞めようという強い決断ができました。

まずは資格をとることに集中しようと、
定時を過ぎてから職場で勉強をするようにしたのです。

もはや、自分の中にいるギャンブルの魔王との対決のようなものであり、
ギャンブル依存症を自力で治す戦いでもあったのです。

初めの後遺症は酷いものでした。
四六時中パチンコ・パチスロのことが頭の中に浮かび、
毎晩のように夢にまでパチンコ・パチスロが出てくる状態でした。

帰りの車でも禁断症状がでて、
信号待ちでは、パチンコ屋のネオンを凝視するようになっていました。
パチンコ・パチスロのことを考えると、
脳から何かが分泌しようとしているのが分かりました…。

そんな後遺症を乗り越え、2週間程で5感が正常に機能している事を感じ、
花の匂いを感じ、視野が広くなり、風の心地を肌で感じ、食事が美味しく感じ、
そして、自然の様々な音さえも聴こえてくるようになりました。
3ヶ月ほどすると、常識的な発想や思考が回復してくることが体で分かったです。

仕事にも自ら試行錯誤をするようになり、
パチンコ・パチスロから離れた生活がこんなにも清々しいのかと驚くほどでした。

資格の勉強もはかどり、半年後には二つの資格を取得できました。

閑職と呼ばれた部署に異動して一年半年。
このリズムでがんばろう。今いる場所でがんばろう。
まさに、自分を変えて環境を変えることが実現できたと思っていました…。

そんな時でした。

本社から一本の電話が鳴ったのです。

その電話は私宛でした。

相手は社長でした。
『本社に戻りなさい。若い君をいつまでもそこで遊ばさせておくことはできない…。』

確かに今いる場所は、若い私には見合っていない場所かもしれませんでした。
人によっては、「同じ給与なのに楽をしている」と思われるかもしれません。
しかし、自分を変える事ができたその場所に感謝しているし、
仕事もやりがいを持って楽しくなってきたところでした。

進退をどうするか正直悩みました。

しかし、一つ言えることは、
以前のように会社の人間関係で悩むことはもうないと確信していることです。

どんなに嫌な相手でも他人を変えることはできない、
どんな環境でも自分を変えることが重要であることを知ったのです。

それならば…。

私は社長の言葉に感謝して、本社に戻る決心をしました。

その後、年度末に正式に辞令があり異動が決まりました。
2年もいなかった部署でしたが、そこでの経験を代えがたいものでした。

夏の猛暑を体で覚え、冬の凍てつく寒さを心で感じたのです。
自分自身を見つめ直し、ギャンブルを止め、資格にも挑戦できました。
部長とパートのおばさん達との攻防戦は腹を抱えて笑いましたし、
冷蔵庫に入っていたパートのおばさんのおやつを勝手に食べて、
ひと騒動起きたこともありました。
その時は部長のせいにして難を逃れましたが…。

そんな事で思い出が濃い部署の方々に別れを告げ、私は本社に戻りました。

本社に戻った私が見た光景は、
飛び出した頃と変わらない環境がそのまま存在していました。

「何も変わってない…」
「ここから自分が変わらなければ、もう後はない…」

私は、一番嫌いで一番腹が立ち一番ぶん殴りたい上司に頭を下げました。

『またお世話になります…。宜しくお願い致します。』

上司は、私にこう言いました。

『私はもう関係ないから…。』

突き放す言葉でした。
その言葉の響きは、「俺は君に何も教えないよ。関わらないから…」
という真意が込められていたのだと思います。

しかし、私には確固たる確信がありました。

必ず変えられる。
自分自身を。

その日から、元の部署でリスタートを切った自分自身との戦いが始まりました…。

依存症体験記
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