2023年6月12日、九州朝日放送の報道
水巻町の町営住宅で、手足を縛られ殺害された女性の遺体が見つかった事件から、きょう1週間です。
犯人が被害者の車を逃走に使っていた可能性があることが新たに分かりました。
目撃した男性は、「レッカー移動するのに4、5人の警察官が立ち会って、ましてや様子を写真で撮っているのが僕的にはすごい。事件があったばかりじゃないですか」と話しました。
捜査関係者によりますと、辻つぐみさん(52)の車は、辻さんの遺体が発見された自宅から、3キロほど離れた中間市で6月7日、見つかりました。
目撃した別の男性は、「パチンコ店の2階の駐車場で、レッカー移動していた」「知り合いの店員が『警察の立ち会いのもとレッカー移動させています』って」と話しました。
警察は、犯人が逃走手段として辻さんの車を使った可能性もあるとみています。
また、辻さんの死因となった首の圧迫による窒息のほか、あざや擦り傷など争った痕もあり犯人特定に繋がる痕跡を詳しく調べています。
九州朝日放送
いよいよパチンコ店駐車場がそんな使われ方になってきたか・・・
防犯カメラに写っていないのかしら
【続報】2023年8月18日、FBS福岡放送の報道
事件発生から2か月あまりでの急展開です。ことし6月、福岡県水巻町の町営住宅で女性の遺体が見つかった事件で、警察は8月18日、強盗殺人の疑いで女性の妹ら女3人を逮捕しました。警察は女性の妹が実行役とみています。
■折尾警察署・柿坂太 署長
「本年6月5日、水巻町において発覚した女性殺人事件につきまして、捜査を進めていましたところ、本日容疑者3人を強盗殺人容疑で通常逮捕しました。」強盗殺人の疑いで逮捕されたのは、いずれも無職で住所不定の辻和美容疑者(51)、辻容疑者の知人で北九州市小倉北区の岡村恵美容疑者(46)、その長女の愛香容疑者(24)の3人です。
3人はことし6月、福岡県水巻町二東の町営住宅で辻和美容疑者の姉で、この家に住む辻つぐみさん(当時52)の首を絞め殺害し、通帳などを奪った疑いがもたれています。
発見当時、つぐみさんは両手両足を結束バンドで縛られた状態で、室内には荒らされた形跡があったといいます。
■近所の住人男性
「なんもかんもひっちゃかめっちゃかで、足の置き場もないくらい。(Q. 引き出しも開いてた)開いてた、開いてた。全部が荒らされた状態。」現場からは、つぐみさんが使っていた車がなくなっていました。
警察が殺人事件と断定し捜査を進める中、新たな動きがありました。
■宮原真記者
「辻容疑者は事件後、つぐみさんの通帳から現金数十万円を引き出した疑いで逮捕され、その後起訴されていました。」警察によりますと、その額は73万8000円で、つぐみさんの預金ほぼ全額でした。
捜査関係者によりますと、つぐみさんの車は銀行近くのパチンコ店で見つかっています。
実の姉妹の間に起きた事件に2人を知る人に話を聞きました。
■姉妹を知る人
「え、本当に?うちの家にも遊びに来ていたし、仲良しだったからショックです。」そのうえで、辻容疑者について、次のような証言もありました。
■姉妹を知る人
「和美さんが借金したのは聞いたことがあるけど。うちの亡くなったお父さんにもお金を借りようとしていたらしいけど。」18日、逮捕を発表して会見に臨んだ警察は、次のように述べました。
■福岡県警 捜査1課・橋本浩輔 課長
「奪ったものは預金通帳、その他もろもろあるが、金銭目的(とみている)。容疑者3人は自己中心的で、極めて悪質・非道な犯行だと思っています。」辻容疑者は盗んだ車で銀行に向かい、姉のつぐみさんに手をかけた約1時間から1時間半後には金をおろしていたとみられています。
警察は辻容疑者が実行役で、岡村容疑者親子が送り迎えなどをしていたとみています。
警察は3人の認否を明らかにしていませんが、いずれも金に困っていたということで、事件に至った経緯を詳しく調べています。
FBS福岡放送
【続報2】2024年7月4日 RKB毎日放送の報道
去年6月、福岡県水巻町の町営住宅でこの部屋に住む辻つぐみさん(当時52歳)に催涙スプレーを噴射し、首を絞めて殺害したうえ、通帳を奪ったとして強盗殺人の罪で起訴された妹の和美被告(52)。
長年ホームレス生活を続けながら、通りすがりの人に”性的サービス”をして日銭を稼いでは、共犯とされる知人の女(強盗致死の罪で起訴)に現金を渡し続けていたとみられている。
捜査関係者が「異様な人間関係」と語る”謎多き強盗殺人事件”の裁判員裁判が5日始まる。
■北九州市の歓楽街から姿を消した「ワンコイン」と呼ばれた女
北九州市八幡西区にあるJR黒崎駅前の歓楽街。
昼の時間に駅前にあるパチンコ店や公園に現れる有名な女がいた。
周辺の店の人によると、女は夏でもマスクを着用し厚着だったという。
いつも大きなリュックサックを背負い、両手に大きな荷物を抱えていた。
周辺の飲食店関係者によると、この女は、パチンコ店から出てくる人に声をかけ、ホテルやトイレで性的なサービスを行っていたという。
”1回500円”という話があったことから女のことを「ワンコイン」と呼ぶ人もいた。
歓楽街で有名だったという女は、ある事件の発生を境に姿を見せなくなったという。
■閑静な住宅街で起きた惨事52歳女性が遺体で見つかる
その事件は閑静な住宅街にある2階建て町営住宅の1室で起きた。
2023年6月5日、福岡県水巻町でこの部屋に住む辻つぐみさん(当時52歳)が遺体で見つかった。
司法解剖の結果、死亡原因は首を圧迫されたことによる窒息。
6月2日から3日ごろに亡くなっていた。
つぐみさんは、居間にうつ伏せで倒れていて、両手両足が縛られていた。
首を絞められた痕があり、襲われたときについたとみられる複数のあざも確認された。
警察は殺人事件と断定し、捜査本部を設置した。
近所の住民は、つぐみさんに「ハキハキして痩せて優しい人。。『おばあちゃんおはよう、今から仕事行ってくるね』と明るく声をかけられた」と語っていた。
■事件発覚から2か月強盗殺人事件に関与した疑いで妹とその知人を逮捕
事件が動いたのは、発覚から2か月後の8月18日。
警察は、つぐみさんを殺害し、預金通帳などを奪ったとして、妹の辻和美被告と、その知人の岡村恵美被告を強盗殺人など疑いで逮捕。
検察は、和美被告を強盗殺人などの罪、岡村被告を強盗致死などの罪でそれぞれ起訴した。
起訴状によると、和美被告は、姉のつぐみさんに催涙スプレーを噴射し、首を締め、窒息させて殺したうえ、つぐみさんの通帳3冊と印鑑1個、軽乗用車などを奪ったとされる。
さらに、奪った通帳と印鑑を使って銀行から73万80000円を引き出したとして、詐欺などの罪にも問われている。
■姉への強盗殺人事件で起訴の妹その人物像は
辻和美被告は、18~19年ほど前、福岡県遠賀町の産業廃棄物処理会社で働いていた。
当時を知る人によると、ビンやカン、アルミの選別作業に従事していたという。
当時の和美被告を知る人は「あっさりした人。体格が良くて背が高くてどっしりした人」などと語っていた。
■ホームレスだった和美被告日銭を稼ぎ現金を岡村被告へ
捜査関係者によると、長年、北九州市八幡西区のJR黒崎駅周辺で公園などを転々とし、少なくとも十数年にわたって日銭を稼ぎながらホームレス生活をしていたという和美被告。
ともに起訴された岡村被告とは20年以上前に職場で知り合ったとみられている。
和美被告は、ある時期から様々な名目で岡村被告に現金を支払っていたという。
自身はホームレスをしながら、日銭を稼いでは岡村被告に渡していた。
その額は、10数年間で数千万円。
つぐみさんの通帳から引き出された73万8000円もほぼ全て岡村被告に渡ったとみられている。
■”謎多き強盗殺人事件”5日に初公判
捜査関係者は、こうこぼした。
「異様な人間関係の中の事件だよね」
取り調べに対し、和美被告は、「催涙スプレーを噴射して手足を縛り、通帳などを奪ったが、殺してはいない」「第三者が殺した」と供述していたという。
JR黒崎駅前の歓楽街で「ワンコインの女」と呼ばれていたのは和美被告だったのだろうか。
”謎多き強盗殺人事件”の裁判員裁判は今月5日から計9日間の日程で実施される。
法廷では、岡村恵美被告やつぐみさんの遺族、法医学者が証言台に立つ予定となっている。
RKB毎日放送(2024年7月4日)
【続報3】2024年7月17日 RKB毎日放送の報道
知人の女と共謀して姉を殺害し通帳などを奪ったとして強盗殺人などの罪に問われているホームレスの妹、辻和美被告(52)。
16日の裁判で、子供を置いて失踪しホームレスになったきっかけを、「パチンコによる借金」だと語った。失踪前から逮捕されるまで約20年、睡眠不足になるほど続けた”売春”では、その収入の大半を知人の女に送金したと証言した。
■知人の女と共謀し姉を殺害し通帳など奪ったとされる、辻和美被告(52)
起訴状などによると、辻和美被告(52)は去年6月2日、知人の岡村恵美被告(47)と共謀して、福岡県水巻町の町営住宅で姉の辻つぐみさん(当時52)の首を圧迫して殺害し、通帳3冊と印鑑を奪った強盗殺人などの罪に問われている。
これまでの裁判で、和美被告は、岡村恵美被告との共謀と姉の殺害を否認。単独で行った「強盗事件」だと主張した。
16日の公判では、証言台に立った和美被告に対し、事件当日の行動に加え、これまでの生活にも質問が集中した。
■なぜ家族の前から失踪しホームレス生活になったのか
検察官 2002年頃借金をするようになりましたか
辻和美 被告 ーはい検察官 何で借金を作りましたか
辻和美 被告 ーギャンブルです、パチンコです検察官 大体いくらぐらいですか
辻和美 被告 ー200万円とか法廷での証言によると、和美被告は、夫(当時)と2人の子供と福岡県水巻町の団地に暮らしていたころに、ストレス発散のためパチンコにはまった。夫(当時)は長距離トラックの運転手で、家に帰るのは月に1~2回。家庭のことや子育ての悩みから、子供を家に置いて毎日、閉店までパチンコに興じていたという。
辻和美 被告
「いろいろ家庭のことであったり子供のことであったり。ずっと旦那が近くにいるわけではないので子供には私しかいないので、なんかかんか、ちょっとした悩みぐらいはありました」和美被告は、借金が返せる額ではなくなったことから、2008年に家を出てホームレス生活を始めたと話した。
実は、家を出る4年ほど前から和美被告は、勤務先で知り合った岡村被告に金を振り込むようになった。まだホームレスになる前の2004年から2008年までに、1400万円以上が送金されていた。
■知人の女が用意した携帯電話で売春
弁護人 送金したお金はどうしたのですか?
辻和美 被告 ―売春です弁護人 売春していたのは岡村被告に返すためですか
辻和美 被告 ―(借金を)返済するためです和美被告は、岡村被告に出会い系サイトを教えてもらい、岡村被告が用意した携帯電話を使って客を探した、と話した。
売春で得る収入は1人あたり3000円から1万5000円。生活費を抜いて残りは岡村被告やその家族の口座に送金していた。
弁護人 売春の収入、1人あたり1回いくら?
辻和美 被告 ―まちまちというか・・・やるあれにもよります弁護人 安い人は
辻和美 被告 ―3000円ぐらい弁護人 高い人は
辻和美 被告 ―1万5000円弁護人 売春で得た金は生活費に使っていましたか?
辻和美 被告 ―あまり弁護人 1日いくらで生活していましたか
辻和美 被告 ―1000円~2000円ぐらい弁護人 残りは?
辻和美 被告 ―送金していました弁護人 送金していた口座は6つですか
辻和美 被告 ―はい弁護人 岡村被告と2人の子供の口座?
辻和美 被告 ―はい弁護人 どの口座にいくら送金するか、誰が決めていましたか
辻和美 被告 ―岡村被告に聞いて入金していました。弁護人 理由は?
辻和美 被告 ―それは岡村被告じゃないと分かりません。■「逃げようとしたこともあった」が・・・
和美被告はその日の売り上げを、携帯電話を使って毎日、岡村被告に報告していたという。
弁護人 ―岡村被告に命じられていたから?
辻和美 被告 ―自分から弁護人 「ホテルに入ります」「ホテルでました」という報告は?
辻和美 被告 ―していました弁護人 どんな気持ちで暮らしていましたか
辻和美 被告 ―返すのに精一杯だったので、そこまで考えていなかったです弁護人 家を借りる金は、岡村被告に送金しなければ、家を借りることもできたのではないですか
辻和美 被告 ―私の中では返すことが前提でしたのでそして、岡村被告から逃げようとしたこともあったと、話した。
弁護人 岡村被告から逃げたいと思ったことはありますか
辻和美 被告 ―何度かありました弁護人 何度か実行しましたか
辻和美 被告 ―客の家に一緒に住んでいたり、何回かありました弁護人 どのくらいの期間?
辻和美 被告 ―長くて半年、短くて2、3か月弁護人 岡村被告との連絡を絶って客の家に逃げ込んでいた?
辻和美 被告 ―はい弁護人 見つからずにはすまなかったのですか?
辻和美 被告 ―はい、何か月か人の家にいる時にふと(岡村被告が)目の前に現れるというか、「なんしよん」というのが何度かありました■思い出せないことはありますか? ―はい
約20年に及んだ体を売る生活は、過酷を極めていたようだ。
弁護人 岡村被告と和美は自由な意思で付き合いができていましたか?
辻和美 被告 ―いいえ弁護人 逮捕されて1年以上経ちました。岡村被告に送金するようになって思い出せないことはありますか
辻和美 被告 ―はい弁護人 なぜ?
辻和美 被告 ―分かりませんが、それだけ過酷だったのかと、嫌なことが多すぎたからかなと思います弁護人 どこが過酷なんですか?
辻和美 被告 ―すみません、分からないです弁護人 ホームレス続けることは過酷ですか
辻和美 被告 ―あまり深く考えないようにしていたので弁護人 売春は、多い日は何人と?
辻和美 被告 ―覚えてないです弁護人 売春をいっぱいして、寝られないことがありましたか
辻和美 被告 ―ありました、睡眠不足はあったと思います弁護人 売春は自分からすすんでしていたわけではない?
辻和美 被告 ―はい、その気持ちすらも考えないようにしていましたので■食い違う被告ふたりの証言
和美被告は、岡村被告への送金は「借金返済のため」だと繰り返した。しかし、借金がいつからどのくらいあるのか、判然としない。
岡村被告は9日の証人尋問で、「総額で500万円の金を和美被告に貸していた。事件当日を除き返済されていない」と証言している。
一方、和美被告は「借金していた」と繰り返すものの金額については、「知りません」「現金をもらっていないから分かりません」「何万円単位で借りたことはない」などと述べた。
借りた額が分からないまま売春し返済していた、ということなのだろうか。
弁護人 岡村被告からしてもいない借金を”している”と思わされていたのではないですか
辻和美 被告 ―そこらへんは分かりませんもう一つ、ふたりの証言が食い違っているのは、和美被告が岡村被告に送金した金の行方だ。
岡村被告は、9日の公判で、こう述べている。
検察官 和美被告はあなたにお金を送っていましたか?
岡村恵美 被告 ―振り込みはありますが、そのお金は和美被告に渡していました検察官なぜですか?
岡村恵美 被告 ―和美被告はホームレスでした、狙われるので一時的に(私の)口座に入れていました岡村被告は、送金されたすべての金を和美被告に直接手渡ししていたと証言した。
一方、和美被告は。
(7月16日の公判)
弁護人 岡村被告は和美被告から送金された金を、預かっていただけ全部和美に返していると言っていましたが?
辻和美 被告 ―いいえ、もらっていません■二人の関係 「唯一の友人」→「債権者、債務者の関係」に
二人は、互いのことをどう思っていたのか。
検察によると取り調べの際、和美被告は岡村被告のことを「唯一の友人」と話している。(5日の初公判 検察側冒頭陳述)
しかし、16日の裁判では、違う表現をした。
弁護人 岡村被告との関係をどう思っていますか?
辻和美 被告 ―債権者、債務者の関係だと思っています一方、岡村被告は、和美被告との関係について「大親友です」と大きな声ではっきりと答えた。(9日 岡村被告の証人尋問)
16日の裁判で和美被告は、知人の岡村被告のことを「おかむらさん」と呼んでいたが、何度か「えみちゃん」と呼ぶ場面もあった。いまだ見えてこないふたりの関係。借金の有無、送金の意味。
そしてなぜ、姉のつぐみさんは亡くなったのか。次回の公判は7月18日、和美被告の被告人質問が続けられる。
RKB毎日放送 記者 浅上旺太郎
RKB毎日放送(2024年7月17日)
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