CR・5号機撤去は未来への期待値【ギャンブル依存症体験記 第52話】

https://ganbulingaddiction.com/2022/01/31/story52/依存症体験記

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【前回の内容はこちら↓】

令和4年(2022年)1月31日の本日をもってパチンコ・パチスロの旧基準機(CR機、5号機)が撤去される。(大阪、沖縄など一部地域を除く)

思い返せば、パチンコCR機でもパチスロ5号機でも、私は大金を使ってきた。

楽しくなかったと言えば嘘になるが、それ以上に経済的にも精神的にも人間関係でも苦しみの方が大きく、「ありがとう。さようなら」という言葉は素直には出て来ない。

人生の半分は、パチンコ・パチスロが中心となり、経済的には常に借金を抱えている状態だった。

必要な物、買いたい物を先に買ってからパチンコ・パチスロを打つのではなく、パチンコ・パチスロを打って勝った金でそれらを買おうという、愚かな思考がいつのまにか当たり前のようになっていた。

精神的には、借金の事が頭を重くし、一日に何度も借金の事を考えなければならない状態であった。

唯一、パチンコ・パチスロを打ってる時は、その借金の事を忘れられるのだが、その行為が根源であり、さらなる借金を生み出しているのだから皮肉な事でもあった。

人間関係は、パチンコ・パチスロを打ちたいが為の嘘のつきまくりで、会わなければならない人にまで会いに行かず、物事の優先順位は常軌を逸した選択となり、かろうじて旧友との繋がりは保てたものの、若いうちに広げなければならなかった新たな人間関係の構築は極めておろそかにしてきた

そういった過去を振り返ると、やはり良い思い出にはなっていない…

これからパチンコ業界がどうなっていくかは、管轄省庁のさじ加減で左右されていく事だと思うが、パチスロについて言えば、多くのユーザーが離れるという見方をしている人が多く見受けられる。

それでも、パチスロを止めずに残る人、パチスロを止められずに残される人が出てくるのだろうと思う。

人間は、その環境に慣れてしまう傾向があり、ブラック企業にいてブラックだと理解しつつも、慣れてしまったり、トイレに入って臭いと思っても、しばらく経てば感覚は麻痺し慣れてしまうという事と同じではないだろうか。

私が危惧するのは、残されるギャンブル依存症者の人たちのことだ。

この機会にパチスロを簡単に止めれる人ならば良い。だが、ギャンブル依存症者はパチスロが6号機になろうと、そう簡単には止めることはできないだろう。

瞬く間に環境が変わり、パチスロユーザーが離れ、パチンコ店自体も売上が下がる一方の中で還元をすることも出来ず、そんな中で取り残されたギャンブル依存症者は、今まで以上に負けると同時に精神的苦痛も伴うであろう。

ユーザーが減る事は、パチンコ店が減ることであり、パチンコ店が減ればメーカーの販売先が減ることになる。

メーカーの中には株式上場をしている企業もあり、営利を追求しなければならず、より多くの機種を減少したパチンコ店に販売するか、より高い機種を販売するかしか選択はない。

そうなれば、パチンコ店は頻繁に高い機種を入れ替える費用のために、客であるユーザーからお金を頂くしかないのだ。

そして、ギャンブル依存症者は、その事を理解していてもパチンコ店に足を運んでしまう。

ギャンブル依存症者は、WHO(世界保健機構)でも、日本国内でも認定した病気であり、かつ、平成30年からは社会保険が適用された病気でもある。

病気に罹患している人が全て弱者とまでは言わないが、少なくとも、ギャンブル依存症者が胴元のパチンコ店でパチンコ・パチスロを打つ状態は弱者側であり、そんな弱者を相手に、メーカー、パチンコ店は、不完全なギャンブル依存症対策のままで何の罪もない人々を食い潰そうとするのか。

これまで、様々な業界団体の取り組みなどをホームページや報告書から見てきたが、平成30年に制定されたギャンブル依存症対策基本法に則り、パチンコ業界側が積極的に対策を講じているとは到底思えない。

ただ、管轄省庁から下された「規制」によって、ギャンブル性に歯止めがかかっただけであり、パチンコ業界の取り組みで何かが変わったわけではない。

例えば、YouTubeでは暴力的な映像や過激な映像を再生する前には、注意喚起が告知されるが、パチンコ・パチスロの動画についても、注意喚起の告知がされるようにYouTube運営にパチンコ業界側が真っ先に手を打つなどの功績があれば、本気で対策をしようとしていると思えるが、そういった事もない。

今後も、ギャンブル依存症対策については、パチンコ業界側ではなく、厚生労働大臣を本部長とする依存症対策推進本部の働きに期待するしかないだろう。

ギャンブル依存症者は、経済苦、不眠、うつ病、家庭不和、借金、失業を併発していることもあり、その悩みを他人に言えば「自分に弱いだけ」「自己責任だろ」と未だ無理解の中で苦しんでいる。

平日の朝から何百人もパチンコ店の前に並ぶ光景が当たり前なのだろうか。

若者たちが目先の金のために、未来の期待値を捨てている事が当たり前なのだろうか。

地獄の形相で店から出てくる人々。店内で喧嘩をする人々。借金をするためあちこちを駆けずり回る人々。

パチンコ・パチスロは、アミューズメントでもなくエンターテイメントでもない、賭博でありギャンブルだ。

そこには、決して日常的に慣れてはいけない環境がある。

世界の中で、唯一のパチンコ大国であり、世界一位のギャンブル依存症者がいる日本。

パチンコ・パチスロが無くなる事によって社会制度が変わることも大いにあり得る。

ギャンブル依存症体験記1話はこちら

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