パチンコ業界のギャンブル依存症対策はパフォーマンス!?【ギャンブル依存症体験記 第49話】

https://ganbulingaddiction.com/2022/01/12/story49/(新しいタブで開く)依存症体験記

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【前回の内容はこちら↓】

消費税が増税された頃、多くのパチンコ店でメダルの貸し出し枚数に変化が起こった。50枚→47枚、50枚→46枚といった風に。

数年前には都内で、等価交換が禁止され交換率が下がるという出来事も起こった。両方に共通して言えることは、ユーザーにはデメリットの方が大きいということだ。それは玉やメダルを借りた時点で負債を負うからだ。

確かに、貸し出し枚数の変化については、出玉がある場合は交換率は変わらないので、今までよりも少ない枚数で景品に交換で出来て、金銭に換えた場合に得した感覚に襲われる。

だが、それは錯覚であり、トータルで勝てないほとんどのユーザーにとっては、デメリットの何物でもない。

また、都内での等価交換禁止が発表された後、ネットなどでは「交換率が下がる分、今までよりもパチンコは回るようになり、パチスロは設定が入るようになる…」と語られていた。

しかし、そういった店も存在したが、交換率が下がったにも関わらず、パチンコ・パチスロの回転率や設定状況は以前と変わらないというパチンコ店も多く存在していた。

近場にそういった俗に言う優良店があるなら、また、毎日のようにその日の優良店を選べる環境にある人間にとっては良いが、ほとんどのユーザーにとっては結局デメリットしかなかった。

年々、遊技人口が減少しているパチンコ業界にあって、こういった施策は一見ユーザーにとって有益なように見えて、実際はユーザーを苦しめるような「パチンコ業界側目線」の手であったと感じてならない。

それを裏付けるように、日本遊技関連事業協会が2020年に調査したデータによると、ユーザーの一日あたりの利用金額は上昇傾向にあると示されている。

結局の所、パチンコ・パチスロユーザーが減少する中にあって、メーカー・パチンコ店が利益追求をするために、残されたユーザーが懐を痛める一方という構図なのだ。

ちなみに、日本遊技関連事業協会が2020年に調査したデータでは、一日あたり5万円以上使うユーザーが全体の9%、3万円~5万円使うユーザーが17%という数字である。

つまり、一日あたり3万円以上を使うユーザーが全体の26%、アミューズメントと云われるパチンコ店に入ると4人に1人は3万円以上を使っているパチンコ・パチスロが果たして「適度に楽しむ遊び」なのだろうか。業界側の組合は「節度を守ろう」と謳ってはいるが、この数字が示すものは、決して健全な遊びでも節度が守られているエンターテイメントでもない。ただの賭博だ。

もう既に何年も前から、パチンコ業界がターゲットにしているのは、ヘビーユーザーだけなのではないだろうか。つまり、パチンコ・パチスロ依存症者だ。

新規ユーザーを開拓する気が全く無いとまでは言わないが、如何にギャンブル依存症者を留めるかに精力を費やし、射幸心が煽られ、依存度が高い機種を開発し運用していると思える。

確かに、パチンコ業界側からすれば、ユーザーの3人に1人はギャンブル依存症という統計データなのだから、借金をしてまでパチンコ・パチスロを打ってくれるギャンブル依存症者という客を手放したくないだろう。如何に泳がせ、パチンコ屋に留まらせるかに注力するに違いない。

なぜなら、パチンコ・パチスロユーザーの3人に1人であるギャンブル依存症者が離れてしまえば、パチンコ業界は壊滅的な打撃を受けるからだ。

業界を挙げて「ギャンブル依存症対策」に乗り出しているように見えるものは、パフォーマンスに過ぎない。本当にギャンブル依存症対策がなされれば、遊技人口は激減し全国のパチンコ店は続々と潰れていく。国内で株式を上場しているメーカーがあり、国外で株式を上場しているパチンコチェーンがある業界にあって、本格的なギャンブル依存症対策など信じられるわけがない。

利益を追求しない上場会社などあるだろうか。誰がそんな上場会社の株を買うだろうか。

そもそも、法律で禁止がされている賭博に携わる法人が国内や国外で株式を上場している事自体に違和感を感じてならない。

そして、ギャンブル依存症者である私が回復する過程で学んだ事は、一度、ギャンブル依存症に罹患してしまえば、パチンコ・パチスロを適度に楽しむ遊びにする事は出来ないということだ。

病気である以上、セルフコントロールは不可能であり、パチンコ・パチスロをやる限度額を抑えたり、パチンコ店に行く回数を減らすということは、限りなく不可能なのだ。

つまり、ギャンブル依存症者が正常に回復するためには、パチンコ・パチスロを二度と打たないという選択しかない。そこから言えることは、パチンコ業界が本格的なギャンブル依存症対策をすれば、遊技人口の33%を失うことになる。即ち、業界が壊滅的な打撃を受けるということだ。

そういった事は業界は熟知している訳であり、自分たちの職業を失うほどの本格的なギャンブル依存症対策など行うとは到底思えない。

やはり、業界のパフォーマンスに惑わされることなく、国や行政が法律によってパチンコ・パチスロを厳しく縛っていくしかないのではないだろうか。

パチンコ・パチスロを辞めた人は、もう随分と前にこの馬鹿げた賭博から足を洗っている。

残されているのは、お年寄りとギャンブル依存症者と、そして、新たに罠にはまっている未来ある若者たちだけだ。

依存症体験記
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