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街中を歩いていると、「このお店はどうやって経営を維持しているのだろう?」というお店を見かけたことはないだろうか。
業種によっても様々だと思うが、例えば飲食店だとすると店舗の土地が自分の物で家賃が掛からず、夫婦で働いていれば人件費を浮かす事ができて、概ね経費の25%は抑えれる。そういった事を知ると、「なるほど」と頷くこともできる。
翻って、パチンコ店であるが、一般的には設置台数の2割が稼働していれば経営は維持できるとのことである。設置台数が300台の店舗であれば60人、500台の店舗であれば100人、800台の店舗であれば160人、1000台で200人である。
私がパチンコ屋に通っていた頃も、常連客の間で「こんなに客が少ないんじゃ潰れるな…」という会話を何度も耳にしたが、何年経ってもそういったパチンコ店が閉店することはなかった。数百万円もするであろう家賃、稼働がなくても消費し続けるパチンコ・パチスロ台の電気代と空調エアコンの電気代、そして人件費である。特に電気代は設置台数300台の店舗で月100万円も掛かるところがあるという。
それでも設置台数の2割が稼働していれば利益が取れる構造ということは、いかに客一人あたりの投資額が大きいかという事でもある。パチンコ・パチスロは平均して3割の客が勝ち、7割の客が負けるという計算で成り立っている。つまり、客が60人いれば18人、100人で30人、200人で60人である。この数字だけなら意外に勝っている客数が多いように思えるが、勝ちにも様々あり数百円勝ちから数十万円勝ちまである。
実際、私もある時期に一年間ほぼフル稼働の収支を付けていたが、勝率は33.2%(212勝 417敗 引分9)に収まっていた。ちなみに、回収率は86.6%、総投資12,754,300円、回収11,041,400円、年間で170万円ほどの大金を失った。決して、3割の勝率があるからといってトータルで勝てるギャンブルではない。
この年はまだ負けていない程度で収支は付けていないが、もっと何倍も負けている年もある。そこから考えると、私も多くのギャンブル依存症者の方と同じように家を一軒購入できるほどの金をパチンコ・パチスロに費やしたことになる。ギャンブルの勝ち負けを収支として記録することを避けるのが人間の性でもあると思う。本能的に良い思い出を残し、嫌な思い出を忘れ去ろうとするのだろう。それは脳がドーパミンを欲するがあまりの働きと思えてならない。
しかし、人間の記憶は曖昧になるが、数字は曖昧にはならない。現在、パチンコ・パチスロなどのギャンブルを止められずにいて苦しんでいる方は、面倒で嫌なことかもしれないが、その日の投資額、勝ち額、負け額をしっかりと記録して冷静に直視することをおすすめする。今は便利なアプリなどもあるので、騙されたと思って収支記録を取ってほしい。意外な自分の一面や癖を数字から読み取れることもあり客観的に自分を見つめることに繋がるはずだ。
それが、きっかけとなりギャンブル依存症からの回復にも繋がるケースもある。
私自身がその収支記録と数字から改めて感じることは、決してアミューズメント、エンターテイメントという「娯楽」なんていう生易しい言葉では片づけられない、エゲツナイほどのドロドロとした賭博・ギャンブルの痛みが刻みこまれている。借金、嘘、悪口、家族不仲、交友関係崩壊。
それでもパチンコ・パチスロを打ち続ける、人間の心を失った自分自身が映し出されている。
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