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アメリカでは1980年以降、ギャンブル依存症を精神疾患の病気と認識する動きが出たようだ。
それまでは、多数のカジノを展開する先進国アメリカにおいても、ギャンブルへの依存は意思薄弱者・性格未熟者による身勝手な行動、社会規範に反する逸脱行為に過ぎないとみなされてきた。
現在、アメリカではカジノのすぐ横にカウンセラーが在籍する相談所が併設されているような所もある。
日本国においては、平成30年に施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」によって、ようやくギャンブル依存症への対策に動き出したに過ぎない。
先進国であるアメリカと日本のこの数十年の開きはどういった理由であるだろうか。
それは、多くの人の見方である、政府が推し進めるIR法案のためであるのだろう。
ではなぜ、「ギャンブル等依存症対策基本法」を施行するまでに至ったか。
IR法案を推し進める中で、政府は思いの外、国民の反対意見が強く多いことに驚いたのだと思う。
政府の方々、国会議員の方々は、ギャンブル依存症についての見識が浅かった。
厚生労働省調べで、現在、国内に320万人はいると推定されるギャンブル依存症者。ギャンブル依存症は家族や友人、他人までも巻き込んでしまう病気であるから、実際にこの病気で悩まされいる人口の数は、1000万人を軽く超える数字なのだ。
話は逸れるが、私が転職の際にある企業で面接を受けたのだが、面接時に隣にいた人がパチンコ店のマネージャーの人であった。その人は、パチンコ業界から他業種に転職するハードルが高い事を切々と話していた。それまでに10社以上の転職採用を断られてきたという。
2次面接、3次面接には繋がるのだが、必ず面接官の中にパチンコ業界に対して良いイメージを持っていない人がいて、それは質疑応答の中で感じたという。
私はその話を聞いて、パチンコ店で従事していた人の能力を低く見ているというよりも、パチンコで嫌な思いをした人、悩まされた人が印象としてパチンコ業界従事者に好感を持っていないという事なんだろうと感じた。
確かに私が採用担当者なら、同じ位の能力がある希望者二人がいて、パチンコ業界従事者とその他の業界従事者なら、後者を選択することは間違いない。
つまり、ギャンブル、なかんずくギャンブル依存症者の割合が公営ギャンブルよりも遥かに高いとされる、パチンコ・パチスロに対しての嫌悪感を抱く人は非常に多く、それがIR法案への反対意見に繋がっているのだと考える。
本来、IR法案=カジノ誘致ではないのだが、「カジノ誘致」「国内にカジノが建設される」というフレーズを耳にすれば、パチンコ・パチスロで悩んだ人、悩まされた人ならば、嫌悪感を抱くことは必然である。
今後も丁寧な説明がなければ、誘致先も揉めるであろうし、ギャンブル依存症対策をもっと強くしなければ、国民が苦しむことも目に見えている。
未だにパチンコ店では、「パチンコは適度に楽しむ遊び」であると啓発するポスターとアナウンス、「自己申告プログラム・家族申告プログラム」という、ユーザーやその家族がパチンコ店に一日に使う金額を申告して、上限に達すれば声をかけて貰うというシステム、そして、相談機関である「リカバリーサポート・ネットワークの案内」ポスターの掲示のみ。
上記のような対策でパチンコ・パチスロを止めれるのなら、ギャンブル依存症ではないのだ。
政府は、医学的見地に基づいたギャンブル依存症対策を実施してもらいたいと心から願って止まない。
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