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パチンコ・パチスロによってギャンブル依存症者になった私の持論として、賭博場であるパチンコ店の営業地域は制限した方が良いと思っている。
公営ギャンブルでさえ、開催場などを建設する際は近隣住人や近隣地域、行政などと時間をかけて議論し、賭博場が建設される。
にも関わらず、パチンコ店は表向きはアミューズメント施設ということで、建設時に多少の近隣地域からの抵抗があっても、ほぼ日本全国どんな所でも出店できる形になっている。
ひと昔前は、どんな駅前にも必ず駅前一等地にパチンコ店が出店しており、観光地や温泉街、海岸近くにもパチンコ店が出店している状況で、まさにパチンコ王国の様相を呈していた。
今でも主要な駅の近くにはパチンコ店が乱立している状況であり、国内に8,000店舗もあるパチンコ店が思い思いにギャンブル営業を展開しているのだ。
今から10年以上も前の私の体験であるが、その頃、ギャンブル依存症に悩み苦しみ、毎日のようにパチンコ・パチスロが打ちたい衝動と戦っていた。その時に気付いたことであるが、当時、私が通勤していた経路を調べてみると、片道50分ほどの電車通勤の際に、実に30数店舗のパチンコ店があることが分かった。
この数は、駅から徒歩5分以内の圏内での数字であり、範囲を広げればもっと多い数のパチンコ店数となることだろう。
つまり、何が言いたいかというと、通勤の片道だけで30数回の衝動と戦わなければならないという事なのである。通勤途中に「会社を休んでパチンコに行こう」と思えば、直ぐにでもパチンコ店が待ち構えている環境なのだ。
これが往復の通勤となれば、60数回の衝動と戦わなければならない。さらに、フラッシュバックを起こさせるように、駅構内では頻繁にパチンコ店の広告が掲示されている…。
「会社を休んでまでパチンコをするなんて正気か?」という意見はごもっともであり、ギャンブル依存症者はその正常な判断すら出来ない障害を抱える病気なのだ。これは何も個人の感想として言っているわけではなく、医師や専門家が言っていることでもある。
覚せい剤の所持・使用で現在服役中のタレントは、かつてTV番組で「目の前に覚せい剤があったらやってしまうかもしれない」「回復途上であるから絶対やらないとは言い切れない」と語っていたが、脳の壊れ具合というか、依存度の差こそあれ、ギャンブル依存症者も酷似した葛藤に苛まれているのでだ。目の前にパチンコ屋があれば、どんなにパチンコ・パチスロを止めていたギャンブル依存症者でもふとした瞬間にそのトリガーが引かれる可能性は十分にある。
また、パチンコ・パチスロのゲーム性、取り分けパチスロにおいては、いかに出玉率が高いとされる高設定が投入されている台を掴むかが勝敗を分ける要素であり、現在のパチンコ店はイベント時にそういった高設定を投入することが多い。逆に言えば、イベント日以外のパチンコ店のパチスロには高設定が投入されている確率は1割未満、9割の台が設定1だとも言われている。
そして、情報が行き渡っている昨今においては、多くのユーザーがその事を知り、イベントを狙って開店前からパチンコ店に並ぶのが当たり前となっている。
つまり、仕事帰りのサラリーマンなどが、夕方や夜からパチンコ店に入り、高設定のパチスロを打てる事は極めて稀であり、長い目で見れば必然的にマイナス収支になるというのは必然の結果なのである。
パチンコは釘が良い(千円あたり多く回数が回せる)台を仕事帰りの夕方や夜から掴むことは出来るかもしれないが、大当たり確率が重く、1時間あたりに回せる回数に限界があるので、良い台を掴んだところで大当たりすら得れないで閉店を迎えることだってある。
いずれにしても、パチンコ・パチスロは仕事帰りのサラリーマンなどには向かないギャンブルであり、打つ時間と店を選ぶという時間的余裕がないと、収支としては必ず負けるギャンブルなのだ。「仕事が休みである土日の朝からしか打たない」「仕事帰りでも期待値がある台しか打たない」というスタイルの一部の人は、プラスの収支になっているかもしれないが、そういった人は少数派であると思っている。
既に10年以上も前から、パチンコ店には期待値だけを追う若者や専業が多く存在しており、その世界はレッドオーシャンなのである。仕事帰りのサラリーマンが期待値のある台を拾えるほど甘くはないし、何よりもそこで得られる目先の金よりも、残業代や自己投資に貴重な時間を使った方が得られるものは遥かに大きい。
また、最近では業界の低迷により、若者や専業が食えなくなっている状況から、サラリーマンなどが副業目的でパチンコやパチスロで結果を出すと、彼らから目を付けられネットなどで個人が分かるように叩かれたり、自宅にまでストーキングをしてくるケースもあるようだ。
ギャンブル依存症者の多くの人間が借金をしているように、パチンコ店には経済的に困窮している人は多くいる。そして、ギャンブル依存症診断テストの最終設問は、「ギャンブルのために社会的犯罪を犯したことがありますか?」とあるように、行きつく所は、窃盗や横領などの犯罪であり、統計データからもギャンブル依存症者の行動予測を示している。
つまり、パチンコ店に身を置くことによって、犯罪を犯してしまうか、あるいは犯罪に巻き込まれてしまうかというリスクが隣り合わせなのだ。
大分、話が逸れてしまったが、この行動予測に照らし合わせると、サラリーマンなどがパチンコ・パチスロにのめり込む結果として、仕事を休んだり、営業回りと嘘を言いパチンコ店に入り浸りになったり、ついには仕事を辞めてしまうことになる。
そういった事が引き金となり、家庭不和、離婚などにも繋がり、子どもがいる家庭では、罪のない子供が不遇な環境に身を置く結果にもなりうるのだ。そういった事例は枚挙に暇がなく、表立って一から十まで話をしなくても、累積で言えば数千万人の人がこういった経験をしている事実があるのだ。
これが社会的損失の何物でもないことは言うまでもない。健全な遊技の範疇から大きくはみ出したパチンコ・パチスロというギャンブル。これが、未だに国内8,000店舗もあるのだ。
国として風営法を改正してパチンコ店の営業区域の制限は必要だと訴えたい。駅前の一等地を売りにだし、幼稚園・保育園などにしたほうがよっぽど世の中のためになる事は間違いない。
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