仕事中にパチンコ・スロット【ギャンブル依存症体験記 第8話】

依存症体験記

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職場で営業職に異動となった私は、心機一転、希望に道溢れていました。

一方で、若い私を気にかけてくれた部長への申し訳無さ、
部長の仕事を継げなかった悔しさもありました。

役職というよりも、思いの部分であったり、業務そのものです。
結果的に見れば私は、会社の期待に応えられなかったのです。

どうみても栄転ではなく、一からのやり直しでした。

敗因はギャンブルに依存した自分の弱さであったと、当時は思っていました…。

不甲斐ない形で営業部に異動した私は、当然の如くいじめられました。

私をよく思わない年の近い先輩は、あらゆる方法で嫌がらせをしてきたのです。
次期部長と言われている上司とも結託し、私の前後を遮断するかのようないじめが続きました。

『もう、会社には行きたくない』
『もう、仕事を辞めよう』

何度も思いました。

そんな時、私を励ましてくれたのは、社長でした。
仕事に厳しい社長でしたが、『社員の一人も脱落者を出さない』
という気概がいつも漂っていました。

社長は自ら、孤立している私に仕事を与え、指示を出し、育ててくれたのです。

しかし、これがかえって周囲の反感や嫉妬を買い、
パワハラの勢いは増していきました。
そして、「融通が利かない」「上手く立ち回れない」という、
私の元来の性格を相まって、部内での人間関係はさらに深刻となっていったのです。

そのストレスの解消方法は、やはりパチンコ・スロットでした。

パチンコ屋に入り、パチンコやスロットをやっている時は、全てを忘れる事が出来たのです。

後にギャンブル依存症回復プログラムを受け、医学的見地から学んだことは、
ギャンブルをしている時、脳内ではドーパミンが多く放出された状態になり多幸感が増すという
事であり、その影響で嫌ことを忘れることができたのだと思います。

職場のストレス、借金、ギャンブル、精神が崩壊する手前の状況でも、
職場には何とか毎日通いました。

外出できる営業職であるため、長い時間、嫌な上司や先輩と顔を合わさず済み、
何とかギリギリの所で耐えることができたのです。

その時、心に誓っていたのは、
仕事中にだけはパチンコ・パチスロには手を出さないという事だけでした。

そんな毎日を過ごし一年が過ぎた頃、状況を一変させる出来事が起こりました。

ギャンブルで借金という、同じ境遇の友人から仕事中に電話が掛かってきたのです。

営業の合間、喫茶店で談笑し、帰る頃になって友人は、私にこう言いました。
『ちょっと打ちにいかないか?』

気がつけば、私と友人は、都内某所のパチンコ屋に足を運んでいたのです。

仕事中に打つパチンコ・スロット…。
それは、恐ろしい程に急速なスピードで自分を堕落させる行為でした。

そして、それはこれから積み重なる悪業の序章に過ぎませんでした。

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