ギャンブルの悪魔が微笑む時 【ギャンブル依存症体験記 第5話】

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私は新社会人となり、都内の企業で勤めることになりました。

夢と希望に満ち、社会で何かを成し遂げたいと出発をきったのです。

緊張の毎日、大人として扱われ、仕事を任されることの喜び。全てが新鮮でした。

初任給は手取りで20万程。実家通いであったので毎月6万を実家に入れてました。初任給で両親にプレゼントを買って渡した時の両親の喜んだ顔は、今でも鮮明に覚えています。

やはり、親孝行ほど尊い行いはないのだと思えます。

職場では重役の人達がなぜか私に期待をしてくれていました。

後から直属の上司から聞いた話では、入社面接での受け答えが高評価であったようで、これは学生時代の経験が大きかったようです。

必死で頑張った苦労が報われた瞬間でもありました。

しかし、そんな中で私の致命的な弱点が浮き彫りになっていきました。

それは、親ほど歳が離れた上司とのコミニュケーションが恐ろしく苦手だという事でした。

思い返せば、学校の先生や部活の顧問などと円滑なコミュニケーションはしていなかったように記憶しています。

当時の学校の教師は体罰が当たり前で、ハルクホーガンのようなプロレスラー教師が毎日のように生徒を殴っており、

例えば、修学旅行で就寝時間の後にハルクホーガンが見回りに来たのですが、

そこで緊張の余り、屁をこいてしまった同級生は外に連れ出されボコボコにされていました。

同級生の顔が奈良の大仏の頭ほどボコボコになっているのを見て、萎縮しない人間などこの世にいないでしょう。

部活にいたっては、言うまでもありません。

そんな、比較的縦社会で生きてきた私にとって、トップダウンで指示された事は出来ても、ボトムアップで意見や考えを上手く伝えることに戸惑ったのです。

何とかそれを克服しようと、ビジネスマナーの本を読んだり、イメージトレーニングを何度も積んだりしましたが、

この弱点は早々には克服できませんでした。

しかも、配属された部署の部長は、仕事中に『ゴルゴ13』を読んでいるような偉人で、

極めて真面目な返答では許されないという、プレッシャーをひしひしと感じていました。

それと同時に、数年後には退職する自分の後をしっかり引き継ぎいでもらいたい、

という熱い思いも共存していて、これは自分にとって大きなストレスとなっていました。

一方で、重役の方々に受けたというエピソードもあってか、年齢が近い先輩達からは嫌がらせを受けることも度々あり、

そんな毎日を送るうちにみなぎっていた精神は少しづつ擦り切れていくのでした。

そう、あれは夏の日の出来事です。

私は気分転換にいつもとは違う帰り道を選んだのですが、

それが悪い選択となったのです…。

目に飛び込んできたのは、ネオンが眩しいほどのパチンコ屋でした。

しばらく、パチンコ・スロットとは距離を置いていた私にとって、それは凄く懐かしい感じでした。

気晴らしにと思い、パチンコ屋に入ると、

店内はパチンコ台からの騒音とタバコの煙が充満していました。

そして、憮然とパチンコ台に向き合う人々。

「なんて場所なんだ!?」

と思いつつも、夏の暑さから解放される店内の涼しい冷房に後ろ髪を引かれ、

「少しだけ打っていくか…」と

私は久しぶりにパチンコを興じることにしました。

すると、不思議な事にこれまで抱えていた仕事のストレス、人間関係のストレスを一時的に忘れることができたのです。

それは、あれだけ嫌悪していたパチンコが嫌な事を忘れさせてくれるという恩恵を与えてくれるという瞬間でした。

それからは、毎日のように仕事が終わるとパチンコ屋へ向かようになりました。

まさに、あの夏の日の出来事は、気が緩んだ私に付けこみ、ギャンブルの悪魔が微笑んだ瞬間だったのかもしれません。

依存症体験記
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