読売新聞オンラインで「ギャンブル依存症」を特集ーコロナ禍で深刻化すすむ

https://ganbulingaddiction.com/2024/08/28/information-1180/ギャンブル依存症情報

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九州と山口・沖縄両県の行政窓口に寄せられたギャンブル関連の2022年度の相談件数が、5年前の約1・7倍に増えていたことが厚生労働省のまとめでわかった。コロナ禍を機に自宅でも手軽に楽しめる「オンライン化」が広がったことが背景にあり、ギャンブル依存症の深刻化に拍車が掛かっている実態が浮き彫りになった形だ。(山本光慶)

「全国ギャンブル依存症家族の会 福岡」と福岡県の職員らは7月、JR博多駅前で依存症の相談先を記載したポケットティッシュを配った。会のメンバー(60)は、5年ほど前に長男(36)から突然、300万円の借金があると告白された。当時は涙ながらに謝罪したが、その後も競艇のネット投票を繰り返すうちに開き直り、数百万円の借金を重ねていった。

 21年に依存症と診断された長男は離婚し、仕事も休みがちに。メンバーが長男宅を訪ねると、ごみが散乱した部屋に消費者金融からの督促状が大量に届いていた。メンバーは「ギャンブルのことしか考えられず、常にスマートフォンを見ていた」と振り返る。

 長男は回復施設に入り、今は一人暮らしをしながら闘病を続ける。メンバーは「依存症になった人も家族もみんなが苦しい残酷な病気。実情を知ってほしい」と訴える。

厚労省によると、22年度に九州と山口・沖縄の行政窓口にギャンブル関連の相談をしたのは延べ1695人。5年前の17年度(972人)から7割以上増えた。最多は福岡県の355人(1・5倍)で、熊本県が253人(同)、大分県では233人と倍増。全国的に見ても同じ傾向で、約2倍に増えている。

 大きな要因が、ネットを通じたギャンブルの拡大だ。内閣官房の調査では、公営競技の売り上げに占めるネット投票の割合は20年度、中央競馬が92・7%、競艇が77・1%、競輪が70・9%となり、新型コロナ拡大前の19年度から約15~20ポイント増えている。競艇場などの公営競技場がない沖縄県で22年度の相談者(216人)が5年前の4・2倍に急増したことも拡大を裏づけている。

公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京)の田中紀子代表は「ネットギャンブルはスマホ1台でどこでもできる。コロナ禍での『巣ごもり需要』が加速させた」とみる。

違法なオンラインカジノへの対策も急務だ。福岡県警が22年に逮捕した30歳代の男は、賭け金を得るため福岡など9府県で空き巣を繰り返していたという。

 「ギャンブル依存症問題を考える会」による23年の調査では、相談件数の約2割がオンラインカジノ関連で、4年前のおよそ5倍に増えている。警察庁は運営者などに関する有力情報に最大100万円を支払う制度を設けたほか、海外サイトについても初の実態調査に乗り出す方針だ。

支援団体や行政は新たな取り組みを進める。

 依存症と診断された約20人が入所する佐賀市の「COBYPLAN(コビープラン)」では、昨夏から入所者がスマホを自由に使えるようルールを改めた。

 預かっていたスマホを退所の直前に返却したことで、再びのめり込んでしまうケースが相次いだためだ。山田義則代表(45)は「入所中なら対策も可能で、失敗の理由を互いに話し合うきっかけになる」と話す。

 福岡県は9~11月、精神科医や司法書士が対応する相談会を県精神保健福祉センター(春日市)で初めて開く。大分県では昨年、「全国ギャンブル依存症家族の会」が誕生し、会場に保育士を派遣して子連れでも参加しやすい環境を整えた。

 依存症患者を治療する国立病院機構「久里浜医療センター」(神奈川県)の松崎尊信・精神科診療部長は「自助グループの役割は重要で、行政側も連携を強化すべきだ」とした上で、「ネットギャンブルはスマホなどで手軽にできるため、周囲が依存状態に気づくのは困難。利用データから依存症が疑われる人を検知するシステムの整備なども必要だ」と話している。

◆ギャンブル依存症=ギャンブルの影響で生活に支障が生じる精神疾患の一つ。借金を負うことで、横領や着服などの犯罪や自殺に至る例もある。米大リーグ・大谷翔平選手の口座から多額の現金をだまし取った元通訳の水原一平被告は、自らを依存症と告白した。

読売新聞オンライン(2024年8月28日)
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