今月9日、東京・杉並区のパチンコの景品交換所で刃物を持って「殺すぞ」などと70代の店員を脅した上、ケガをさせたとして会社員の男が逮捕されました。
警視庁によりますと、強盗致傷などの疑いで逮捕された山崎製パンの会社員・竹林宗容疑者(40)は今月9日、東京・杉並区にあるパチンコの景品交換所に押し入り、70代の店員に包丁のようなものを突きつけ「殺すぞ、金をだせ」などと脅し、店員に全治10日間のケガをさせた疑いが持たれています。
竹林容疑者は店内に1人で残っていた店員に対し「金庫をあけろ」と脅したとみられていますが、店員が抵抗したため何もとらずに逃走。店員は抵抗した際に壁に太ももをぶつけるなどのケガをしたということです。
防犯カメラの捜査などから竹林容疑者の関与が浮上したということですが、調べに対し竹林容疑者は容疑を認めた上で、「借金を抱えていた」などと話しているということです。
日テレnews(2024年3月27日)
なぜ、容疑者は「借金を抱えていた」のでしょうか。また、金銭に困っていて、なぜパチンコ店景品交換所を襲ったのでしょうか…。
仮に容疑者がパチンコによって借金を抱える身になった、ということであれば全て合点がいきます。
過去から現在に至るまで「パチンコ」が原因で多重債務や貧困になり、犯罪に手を染めてしまうケースは山のようにあるからです。
さらに、多額の現金が用意されており、従業員も少なく、襲いやすいであろうと想定して、パチンコ店景品交換所を襲った事件が何度も繰り返されています。
しかしながら、本事件のように従業員を脅して現金を奪おうとする犯行は、ほぼ全て未遂や逮捕に至っているのが実情です。
仮に容疑者がパチンコで借金をつくり、返済に追い詰められて犯行に及んだとするならば、容疑者もまたギャンブル依存症の可能性が高いと思われます。
最近では、大谷翔平選手の元通訳である水原一平氏の窃盗事件が話題になっていますが、彼も自ら「ギャンブル依存症」であるという自覚をもっているようです。
罪を犯したならばルールとして当然罰は必要ですが、防犯や抑止という観点、人が人の道を外さないための環境づくりの観点に立てば、ギャンブル依存症という病気とその環境にも着眼点を置いてもよいのではないでしょうか。
「一定の人が楽しむ為にはある程度の犠牲は致し方ない」という国家の方針であれば、その国を離れて生きて行くか、離れられないのであれば、そこで受け入れながら生きていくしかないでしょう。
だが、日本国家は少なくともギャンブル依存症者を救済しようとしている方針であることは、ギャンブル依存症対策基本法からも見て伺えます。
ですが、ギャンブル依存症者を救済する一方で、そのギャンブル依存症者を作りだしてしまう、国内にあるギャンブルの制度にまでは着手していないように見受けられます。
ここでいう「ギャンブルの制度」はパチンコ業界です。
パチンコ業界の売上高、参加人数は公営ギャンブルの比較にならない程突出していること、さらに厚生労働省調べのギャンブル依存症者実態調査による、ギャンブル依存症者の参加カテゴリーは8割以上がパチンコ・パチスロという実態からみても、日本国内のギャンブル依存症を生み出す根源はパチンコ業界であるといっても過言ではありません。
そもそも、公営ギャンブルは戦後の復興目的で始められ、開催場は戦争で特に被害が大きかった地域という大義名分もあり、売上の25%は必ず税金として納められいてるという実情があります。
一方、パチンコ業界は、ギャンブル依存症対策基本法に「ぱちんこ」という文言が載るまで、三店方式という仕組みでアミューズメントと謳っていたわけです。法律に賭博罪や賭博開帳図利罪がありながらも暗黙の内に、パチンコ業界だけが許されてきたのです。
果たして、パチンコ業界はこれまで公営ギャンブルほどの税金を納め、国益を増進するような貢献をしてきたのでしょうか。
仮に日本で誇れる娯楽として胸を張れるならば、なぜ、半世紀以上の期間がありながらも、パチンコが世界へ広く進出できなかったのでしょうか?
政治レベルでの「パチンコの見直し」を今後期待するものです。
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