幼児を車内放置してパチンコを打つことは虐待になるのか…様々な声

パチンコ店駐車場の車内で放置されていた幼児2人を見つけ、母親への引き渡しに貢献した客の男性と店の従業員に警察署から署長感謝状が贈られたことを報じた記事が、ネット上で大きな反響を呼びました。「子供を置き去りにしてパチンコを楽しむのは虐待以外の何物でもない」などと親を非難する声が殺到。
一瞬でも子どもを置いて車を離れることの危険性のほか、ギャンブル依存症の可能性に言及した投稿も寄せられました。母親について「逮捕されないの？」「どんな責任を問われたのかが気になる」との声も。読者の反応をまとめるとともに、警察署に取材し読者の疑問をぶつけました。（デジタル編集部）
事件が起きたのは昨年11月22日午後7時半ごろ。感謝状を贈った山武署によると、店から帰ろうとした男性が、駐車場でエンジンがかかったままの車に気づき、1歳の男女の双子が後部座席に放置されているのを発見。店員が店内放送などでパチンコをしていた母親を発見し、幼児2人と引き合わせました。幸い幼児2人の体調に異常はなかったということです。
　気象庁のデータでは、当日午後7時の現場付近の気温は約9度の寒さ。発見した男性は「暖房はかかっていたと思うが、子どもなので長時間待たされると動き回ってふいにエンジンが切れることもある」と気をもんだ当時の心情を振り返っています。
ネット上では「過去に何度も車内放置で痛ましい事故が起こってるのにまだこんな事する親がいるのに驚きました」「子どもがどう動くか分からないし、万が一にも車が動き出してしまったら…と考えたら恐ろしくてたまらない」などと批判が相次ぎました。
　特に子育て中の実体験として、コンビニでの買い物やスーパーのカート置き場にカートを戻す時など「短時間であっても絶対に子どもを車に置いていかない」とする意見が多く見られました。「面倒くさいと感じることもありますが、子供の命は親しか守れません」「ほんの一瞬だし車で待たせた方が楽だけど、もし誘拐されたら、震災が起きたら、ドアロックがかかってしまったら…と考えてしまう」など、一時の手間よりも子どもの命が最優先と考える親の思いが伝わってきます。
　また、子どもを放置してまでパチンコに向かうという行為に対しては「ギャンブル依存症の可能性もあると思う」との指摘もありました。行為を批判するだけでなく、母親への適切な対応を求める声にも共感が集まっています。
記事を読んだ人からは「母親は逮捕されないの？」との疑問も相次ぎました。今回、母親は逮捕されていませんが、車内に子どもを放置した際に保護責任者遺棄の疑いで逮捕されるケースもあります。逮捕の基準を山武署に尋ねたところ「事案に応じて判断するため一概には言えないが、児童が衰弱して生命の危機があるなど、状況を総合的に判断する」との回答でした。
　ただし今回の車内放置は児童虐待（ネグレクト）が疑われる案件として、署員が母親の自宅を訪問。栄養失調による衰弱や不衛生な環境に置かれていないか、暴力など身体的な虐待がないかなどを確認しました。他の虐待の形跡はなかったものの「車両に子どもを放置した時点で児童虐待の恐れがある」として、児童相談所に通告したということです。
今回は発見されたのが1歳の双子だったという点から、子育ての苦労や親のストレス発散の難しさに思いを巡らせる声もありました。「1歳児一人でも大変なのに双子だったらと思うとさぞかし大変だろうと思う。お母さんのメンタルケアが心配」「親だって人間。子育ては本当に大変でストレスを伴うものだから、パチンコをすることが悪だとは思わない。託児に預けたり、夫婦交代で子どもを見たりして、子供に危険が伴わないように息抜きができると良い」と思いやるコメントも。
　今回のニュースで、多くの人が子どもを守るための適切な行動や、子育ての課題について改めて考えるきっかけとなったのではないでしょうか。
千葉日報（2025年1月24日）

パチンコ・パチスロはギャンブルであり、パチンコ店は非日常空間の場所ともいえます。幼児をひとり日常空間に置き、親が非日常空間に移ることは、とても危険だと思えます。

息抜きといっても、今の世の中他にも選択肢が多くあるはずであり、敢えてパチンコ・パチスロを興じる必要もないわけです。

ギャンブル依存症対策基本法には「ギャンブル依存症と虐待は密接に関連している」と明記されており、医師や専門家の見解でも、ギャンブル依存症によって、子どもへの虐待に繋がるケースがあるとされているのです。

そういった危険もあることを認識した上で、パチンコなどのギャンブルに手を出す人は少なく、現況の日本国内は多種多様なギャンブルがあるにもかかわらず、ギャンブル依存症という病気の実態が広く浸透しておらず、学ぶ機会もほとんどないに等しいといえます。

パチンコなどのギャンブルから起こる事案については、個人を責めるよりも、ギャンブルが身近にありすぎる環境に多くの問題点があると考えます。