福島県平田村で出納室長を務める男性職員が、公金7万6000円あまりを横領したとして、村が懲戒免職の処分をしたことが分かりました。
懲戒免職の処分を受けたのは、平田村の出納室長の男性職員(56)です。
テレビユー福島(2024年5月27日)
村によりますと、村の公金を保管する出納室で室長を務める男性職員は、5月15日、総務課職員が出納室に保管を依頼していた7万6694円を着服しました。
22日に総務課の職員が出納室に預けていた公金を引き出そうとしたところ、現金が足りないことに気づき横領が発覚。
その際、男性職員は「現金が入ったポーチ5袋のうち2袋は私が取り出した。取り出したお金はあすかあさってには戻すので内容は秘密にしてほしい」と総務課の職員に依頼したということです。
その後の村の聞き取りに男性職員は「パチンコが原因でできた借金を返済するために公金を使用した」と公金の横領と使用を認めています。
村は男性職員を27日付で懲戒免職とし、管理する立場にあった総務課長を戒告処分としました。
一方村は、男性職員が横領した公金を全額を返済していることから、民事訴訟と刑事告訴は行わないということです。
平田村の澤村和明村長は「職員の不祥事に対する管理監督責任と村民に対する謝罪、並びに社会的信用の回復に資することを目的に村長、副村長の給料の減額措置について村議会に提案する予定です」とコメントしています。
借金をしてまでパチンコにのめり込んでしまったり、その穴埋めのために犯罪に手を染めてしまう状態はギャンブル依存症の可能性が高まります。
元男性職員は自覚症状がないまま、ズルズルとパチンコ・パチスロから逃れることが出来ず、最終的には「ダメだ」と分かっていながらも、あるいは「金は返せばよい」という抑えられない衝動のまま横領をしてしまったのではないでしょうか…。
ギャンブル依存症はれっきとした病気であり、重度のギャンブル依存症ともなればセルフコントロールは不可能です。そして、この病気はギャンブルをする人であれば誰にでも患う可能性があるとも言われているのです。
本件のような事案が再び起こらないように対策するためには、組織としてギャンブル依存症への理解を深める啓発運動を推進することだと思います。当事者であれば、自らがギャンブル依存症かもしれないと気づく機会にもなり、早期発見であったり回復への治療に繋がるケースも増えるのではないでしょうか。
また、ギャンブル依存症当事者にとって金銭を扱う業務が適当ではない場合もあるため、組織側が「病気」であると捉えて、負担のない業務を与えることもギャンブル依存症への理解、組織防衛になると考えます。
パチンコ・パチスロなどギャンブルに関係のない人間からすれば、「そこまでする必要があるのか?」と思われるかもしれませんが、日本は世界で最もギャンブル依存症者が多い国であり、世界で類を見ないギャンブル大国でありながら、ギャンブル依存症対策が脆弱であるという現実からいっても、こういった方法と取らざるを得ません。
例えば、日本にあるギャンブルで最も売上高が多いのはパチンコ・パチスロですが、あなたが住んでいる都道府県、市町村に何軒のパチンコ店があり、どれだけの機械が設置されているかを調べてみると驚くかと思われます…。
パチンコ・パチスロにのめり込みギャンブル依存症になった人は、自宅から会社までの通勤の間に「その数だけ」欲望と闘わないといけないのです。そして、「自分に弱いだけだ」「考えが甘いだけだ」「パチンカス」と端的に切り捨てられてきたギャンブル依存症は、いまや公的保険適用の病気と認定され、国民の社会保険料によって治療が開始されているのです。
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