《事件は2017年3月1日、俺は当時、生活保護を受けていた。朝の9時には区役所に行って保護費を受け取り、ケースワーカーの人と仕事の面接をしていた。》
《パチンコで負けイライラし、帰りの途中に大声を上げた。本当は、数人に借金や飲み屋のスナックに付けがあり、申し訳ないと思い乍ら、必ずパチンコで取り戻してやるとアパートに向う…
途中に近所と言ってもお互いの家と俺のアパートは出れば見える距離で、俺が帰る途中に、被害者のTさんのおばさんに「こんにちはー」と声をかけたら、「お兄ちゃん遊びの帰り?」
俺「まーそんな所です」
Tさんに「仕事もしてないのにいいご身分ね」と言われ、体に電流が流れた。一旦はアパートに帰ったが、部屋の中で、先程の被害者になってしまうTさんのおばさんの言葉を思い出してしまい、また怒りが込み上げてしまい…》
《気付けば、台所のシンクの上に包丁が目に付く、その包丁を俺は手に持っていた…。後は何も考えず、被害者の家に向ってた。》
そこで最初に遭遇したTさんの夫を、ついでTさんを殺害、現場にあった財布に気づき、それを奪って逃走した。これが窃盗なのか強盗なのかが、死刑か無期懲役の分かれ目になったのだった。
がんで死ぬか死刑執行か…死刑判決の前に末期がんを宣告された被告が面会室で語ったこと(篠田博之) – 個人 – Yahoo!ニュース
被告がどんな経緯で失業して生活保護受給者になったかは分かりませんが、生活保護受給中にパチンコを打ってしまう行動、またその動機が借金の返済のためにパチンコで勝って返そうと思ったという事から、被告はパチンコ依存症の疑いがあります。
それは、ギャンブル依存症診断テストの中にも、そのような項目があり該当しているのです。
パチンコ依存症を患い、パチンコに負けている時の精神状態を異常な状態とも言われています。
メカニズムとしては、脳の報酬系であるドーパミンの放出を求めてパチンコを打つわけですが、ギャンブル依存症者はその報酬系の回路に異常をきたしている状態であり、「パチンコで当たらない」「パチンコで負ける」という事は、アルコール依存の人がアルコールを目の前にして飲めない状態、薬物依存の人が薬物を目の前にして接種できない、という事と同じ状態になります。
上記2つの依存症を例にしましたが、国家としても「ギャンブル依存症等対策基本法」の中でギャンブル依存症と同列にこの2例の病気を置いています。
また、依存症専門医の見解でもこれら3つの依存症は「メカニズムとして同じ」と述べています。
それほど、社会問題となっているのがパチンコ依存症=ギャンブル依存症であり、被告が被害者の苦言に激昂して殺人を犯してしまったことに、ギャンブル依存症の当事者としては大きな驚きはありません。
私もギャンブル依存症が最も深刻な時期には「何をしてもおかしくない状態だった」と思います。
そんな当事者が思うところは、被告が事件を犯した際の心理状態は複雑な要素が含まれているのではないかということです。
生活保護を受ける中で社会復帰するための焦り、周囲への借金、パチンコがやめたいのにやめられない苦しみ、自己嫌悪、最悪の事態も考える希死念慮、他人からは決して理解されない苦悩、多くのギャンブル依存症者は「自分は何て弱い人間なんだ」と自責の念に駆られています。
それでも、多くのギャンブル依存症者は、ギリギリのところでバランスをとって何とか生きているように感じます。
しかし、ギャンブル依存症者特有のあらゆる負の要因が重なった時、そんな時に他人から追い打ちの言葉をかけられれば、最悪のトリガーが引かれるのだと思います。
ギャンブル依存症は国が認めた病気です。
そして、このギャンブル依存症者が国内にいる数は、世界的にみても突出して高く、世界一多いのです。
地球上でパチンコ・パチスロがあるのは数か国、そして日本がそのメッカであり、ギャンブル依存症者の数が世界一という統計からみても、パチンコ・パチスロが原因であることは紛れもない事実だと思えてなりません。
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