これまでにパチンコ店駐車場での「車内放置事故」は未然防止を含めると、400件を超える件数となっており、今日現在までに40名を超える尊い幼い命が犠牲となってきました。
報道で度々取り上げられるほどの社会問題となり、警察庁はパチンコ業界に「乳幼児を連れての来店を禁止するよう」通達をしてきました。
それを受け、パチンコホールでは啓発ポスターなどが貼られたり、パチンコホールなどでは駐車場を巡回する取り組みも行ってきたようです。
しかしながら、未だ「パチンコ店車内放置事故」は無くならず、最近では「パチンコに行くために」乳幼児を「自宅放置」するという事件・事故の報道を目にするようになりました。
今回、目にした報道は以下の内容です。
北海道釧路市で幼い子ども2人を自宅に残したままパチンコに出かけ、半日以上放置したとして保護責任者遺棄の罪に問われた35歳の被告について、釧路地方裁判所は執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。
阿部光浩被告(35)は2022年6月、当時住んでいた釧路市で、パチンコをするために外出し、生後4か月と2歳の幼い兄弟をおよそ13時間半にわたって放置したとして、保護責任者遺棄の罪に問われました。
兄弟のうち4か月の赤ちゃんはその後、搬送先の病院で死亡しましたが、捜査段階では放置と死亡との関係は認められなかったということです。
12日の判決で釧路地方裁判所の石川貴司裁判官は「わずか2歳の子どもと首もすわっていない生後4か月の赤ちゃんを置き去りにした危険な行動だ。居間に見守りカメラを設置したり赤ちゃんの口元に哺乳瓶を置いたりしていたが、保護につながり得る措置とは認められない」と指摘しました。
そのうえで「パチンコをしたいという動機に酌むべき事情はない。事件の前にも子どもを置き去りにしてパチンコに行くことを繰り返していて、規範意識が低下していた」と指摘し、懲役1年6か月、執行猶予3年を言い渡しました。
この事件では、当時一緒にパチンコに出かけた未成年の母親については、家庭裁判所がことし7月の少年審判で保護処分の決定をしています。
幼い兄弟放置しパチンコ 被告に執行猶予付き有罪判決 釧路地裁 | NHK | 事件
1件の事故が起きるまでには、数十回のヒヤリハットがあると言われています。
つまり、事件で取りざたされる「自宅放置事故」は氷山の一角で、顕在化していない事象も多くあるのではないでしょうか。
乳幼児を自宅放置する動機が「パチンコが打ちたいため」というのは、もはやギャンブル依存症の可能性が高く、厚生労働省調べで国内に320万人いるとされるギャンブル依存症の中に、「乳幼児を子育て中」の人は数%いてもおかしくない数字です。
日本国内では平成30年に「ギャンブル依存症」が病気認定されてから、その病気への社会の向き合い方が少しづつ変わって来たという印象は受けます。
それは、ギャンブル依存症対策基本法の制定によって、パチンコ業界に規制が強められ、地方自治体の取り組み方が変わって来たものによります。
しかしながら、公営ギャンブルとは違い「営利目的」であるパチンコホールは国内に7,000店舗以上が存在し、ユーザー数は710万人いるとされています。
ギャンブル依存症者のカテゴリー別でみると、320万人の内9割近くがパチンコ・パチスロユーザーと言われており、ユーザー総数から見れば、パチンコ・パチスロユーザーの大多数がギャンブル依存症の疑いが強いという状況です。
ギャンブル依存症対策基本法にもあるように、私は特に「教育」という所に力を入れていく事が必要と感じています。
リテラシーの向上をはかると言えば良いでしょうか。
「ギャンブルとは何か」「パチンコ・パチスロとは何か」「社会問題とされるギャンブル依存症」「その病気の罹患率」「病気になった場合の治療方法」「ギャンブル依存症によって何が失われるか」
そいった事などを事前に教育・啓発する前提が必要と思うのです。
そうでなければ、いつまでも「本人の意思が弱いだけ」「自己責任」という端的な言葉で切り捨てられ、ギャンブル依存症の副作用として起こる、痛ましい事件・事故は決して無くならないと思うのです。
パチンコホールにある「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです」という掲示だけで、ギャンブル依存症になったら自己責任と片づけるのでは、あまりにも清廉した国家とは呼べないのではないでしょうか。
一つ言えることは、法律でパチンコ・パチスロを廃止した韓国は、GDPでも成長率でも日本を超えたという事実です。
コメント