「ギャンブル依存症」と告白した米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告を巡る事件が社会に影を落とす中、県内でもギャンブル依存症に関する相談が増加している。相談窓口の一つである県精神保健福祉センターの担当者は「依存症本人による相談ではなく、家族や関係者の相談が大半だ」と明かす。ギャンブルで膨れ上がった借金などの悩みを打ち明ける家族たち。ギャンブルにはまった本人には、依存症という自覚がないことが多いという。(斎藤優樹、今泉桃佳、南哲哉)
次男がオンラインカジノに
県精神保健福祉センターの相談状況県中地域に住む父親(50)と母親(50)はテーブルに着くと、ギャンブル依存症になった次男(24)について、ゆっくりと話し始めた。「優しく、気遣いができる子だったが、追い込まれていた息子は目が血走り、表情が険しくなっていった」 高校卒業後、次男は県北地域で就職し、寮生活を送っていた。母親によると、次男は就職を機にパチンコや競馬を始めた。当初は週末の休日にギャンブルを楽しむ程度だったが、様子が変わったのは、新型コロナウイルス禍の2022年2月ごろだった。
「オンラインカジノで150万円の借金をつくってしまった」―。次男は暗い表情で、2人にこう打ち明けた。入り口はスマートフォン。父親によると、コロナ禍による外出自粛もあり、スマホでネットサーフィンをしていたところ、無料で始められるギャンブルを見つけた。その一つが違法なオンラインカジノだった。
次男は貯金を崩しながらオンラインカジノをするようになり、消費者金融にも借金するほどにのめり込んでいった。借金は時間とともに膨れ上がった。次男が泣きながら土下座をして反省した様子を見せたことから、2人は借金を肩代わりした。
しかし、その後も次男はギャンブルをやめられず、借金も150万円だけではなかった。父方と母方の祖母2人にも、それぞれ「50万円を貸してくれ」と依頼していたことが判明。職場の先輩や同僚からも計335万円を借金していた。両親は次男を説得。専門のクリニックを受診させると、次男はギャンブル依存症と診断された。次男は現在、山梨県にある回復施設に入所し、専用のプログラムを受けている。父親によると、次男は2度にわたり自主退寮の機会があったが、依存症克服のため施設で自分自身と向き合っている。
福島民友新聞社(2024年6月14日)
ギャンブル依存症当事者が「自分はギャンブル依存症だ」「この病気に向き合おう」と思うまでには、まあまあなハードルがあります。私もそうでしたが「二度とギャンブルができない」ということが恐怖でしかないのです。
さらに、ギャンブル依存症の度合いにもよりますが、ギャンブル以外のことで感動することもなくなり、心が死んだ状態になることも本当に辛いものです。
ギャンブルをやめると同時に、自分が今までに取り組まなかったことに挑戦することも回復を助けると実感します。要はギャンブル以外で心を動かせられることを探すのが重要だと思います。
いずれにしても、同じような苦しみを抱えている人の中へ、ギャンブル依存症を理解している医師のもとへ足を運ぶことが何より大切です。
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