既に多くのメディアでこのニュースが駆け巡りましたが、その中で気になった記事がありました。
２１日放送のＴＢＳ系「ゴゴスマ」（月～金曜・後１時５５分）では、大谷翔平投手の専属通訳として公私ともにサポートしてきた水原一平氏（３９）がドジャースを解雇されたニュースを報じた。
「ＬＡタイムズ」によると、水原氏は大谷の代理人弁護士から、大谷の資金を違法なブックメーカーで賭けるため「大規模な窃盗」に手を染めたと告発された。
この日のゴゴスマでは、水原氏がギャンブル依存症を告白したという「ＦＯＸスポーツ」の内容を紹介。さらに、水原氏が米スポーツ局「ＥＳＰＮ」のインタビューで語った内容をパネルにして説明し、水原氏は「私はギャンブルの才能がない。一度も勝ったことがない。自分で墓穴を掘り、その穴はどんどん大きくなった。そこから抜け出すためには、より大きな額を賭けなければならなくなり、そしてずっと負け続けた。雪だるま式だった」と発言。
それを古川枝里子アナウンサーが読み上げると、放送作家の野々村友紀子氏は「１回も勝ったことがない人も依存症になるんですか？」と、産婦人科医の丸田佳奈に質問していた。
報知新聞
上記の記事で放送作家の野々村友紀子氏による「１回も勝ったことがない人も依存症になるんですか？」という質問が投稿掲示板などでも注目され、様々な憶測が飛び交っています。
ギャンブル依存症当事者の私が思うところは、この水原氏の発言は言葉のあやというか、上手く伝えきれていないのではないかという事です。
「一度も勝ったことがない」という本来の意味は、トータルでプラス域になったことがない、あるいは、一日単位で勝ち越したことがない、月単位で勝ち越したことがない、そういった意味なのではないかと思うのです。
私がハマっていたのはパチンコ・パチスロですが、公営ギャンブルも少しだけやったことがありました。仮に、「公営ギャンブルで勝ったことがあるの？」と聞かれれば、端的に「一度も勝ったことがない」と答える可能性が高いと思います。
というのも、全く当たらなかった訳ではないですが、掛け金に対するリターンが少なすぎたのと、YouTubeなどで見られる競馬プロの爆勝ちのような経験が皆無だからでしょう。ちなみに公営ギャンブルで一日単位でも勝ち越したことはありません。
そういった自分の経験も踏まえると、水原氏は勝ったことはあっても、掛けた額に見合わないリターンしかなかった可能性が考えられます。
ここまで書いておいて言うのもおかしな話ですが、本来はこの水原氏のニュースは記事にしたくなかったという葛藤がありました。
というのも、あの２０２０年から始まったコロナ禍で唯一の明るいニュースが大谷翔平選手の活躍だったからです。そこには当然、通訳の水原氏もいました。
あのいつまで続くのかという不安と混沌とした世の中にあって、本当に、本当にあの大谷翔平選手の活躍だけが希望であり光だったように思えるのです。
その大谷翔平選手を支えた水原氏の功績も大きかったはずです。それゆえに、このニュースを朝見た時、何とも言えない胸の苦しみ、そして、それがギャンブルによるものであったという事実によって、「彼もまた…」という憂鬱な心境に陥ったのです。
それでもあえて、この記事を書こうとおもったのは、ギャンブル依存症当事者からの視点として二つ伝えたいことがあったからです。
１つは、水原氏は自ら「私はギャンブル依存症です」と認めていることから、随分と長い間ギャンブルに苦しみ、もがいていた形跡が、その言葉から感じられたことです。
専門医の見解でもギャンブル依存症は「否認の病気」と呼ばれており、本人が自覚するまでに時間がかかったり、認めないケースが多々あるとされています。
つまり、水原氏のギャンブルは今に始まったことではなく、初めは自分の資金でやっていた時期などもあったと推察できます。しかし、どれも上手くいかなく、「どうしてやめられないのか」という悩みからギャンブル依存症という病気を知るに至った可能性があると思えるのです。
長い期間ギャンブル依存症を患っており、日々苦しみながら生活する中で、禁断である他人の金銭に手をつけてしまうという最終段階に入ったということです。
これは重篤なギャンブル依存症者が行う行動であり、もはや理性では制御できないセルフコントロール不可能状態だったことも読み取ることができます。
２つ目は、重篤なギャンブル依存症を患っている水原氏は、決して大谷翔平選手を「騙してやろう」とか「利用してやろう」とかそういった気持ちは一切なかったと考えるのです。
先述したとおり、セルフコントロール不可能になれば、どんなにお世話になった人からも、信頼する友人からも、そして血のつながった肉親からも、ギャンブルをやりたいが為に金銭を得ようとしてしまうのです。
この事例は過去から現在に至るまで日本全国で枚挙に暇がないほどの数です。
私も何度もその経験を繰り返しました。失うものの方が遥かに大きいのに、それでも止められない自分を何度も責め、これ以上多くの人に迷惑をかけるならば…と最悪の選択を考えたこともありました。
水原氏は大谷翔平選手をリスペクトしていただろうし、なおさら自責の念は強いだろうと思います。
大谷翔平選手がこんなブログを目にすることはないでしょうし、大谷翔平選手も十分理解していることかもしれませんが、水原氏は大谷さんを利用してやろうなどとも微塵も思っていなかったはずです。
水原氏がこれから行うべきは、ギャンブル依存症回復プログラムをうけることだと考えます。
そして、ギャンブル依存症になりやすい人の特徴の一つは「孤独」とも言われています。水原氏のまわりに応援できる人たちがいるならば、彼を孤独にさせず、仲間で楽しむ遊びを教えてあげることが、この先希望ある未来への懸け橋になると信じて疑いません。
水原さん、人生は何度でもやり直していいんですよ…。更生して立ち上がった姿が大谷さんへの最大の謝罪と恩返しになるのですから。
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