こんにちはバーサスです。
今回は「ギャンブル依存症対策基本法」について記事にしました。
私自身、ギャンブル依存症という病気と闘っている身として、この法律の一つ一つを解釈し知っておきたいと思っています。
なぜなら、同じようにギャンブル依存症で苦しんでいる人たちが救われるような、また、これからギャンブル依存症という病気に罹患する人たちが無くなっていくような社会にするための取り組みとして、知っておく必要があると考るからです。
IR法案をきっかけに、パチンコ業界を主としたギャンブル大国の日本において(ギャンブル依存症者数世界一位の推定320万人)、ギャンブル依存症という問題が浮き彫りとなりました。
国や政府もギャンブル依存症を社会問題として取り上げ、ようやく平成30年10月から「ギャンブル依存症対策基本法」が施行され、本格的な取り組みが開始されています。
医療機関の整備がされ健康保険を使っての治療ができるようにもなり、厚生労働省や消費者庁、各自治体にも相談窓口が開設され、国民に広くギャンブル依存症という病気についての啓蒙もされている状況です。
また、このギャンブル依存症対策基本法は、3年毎に実態調査とその結果が公表されることになっており、必要であればさらなる対策を講じるとなっています。
さらに、このギャンブル依存症対策基本法で革新的な部分は、「ぱちんこ」という文言が明確に記されていることだと思います。
つまり、「国や政府はパチンコをギャンブルと認めた」という解釈もできるのです。
国会答弁を加味するならば、「違法ではないが現実的にはギャンブルとなっている」という所ではないでしょうか。
ここから読み取れる事は、パチンコ業界が規制と緩和を繰り返してきた歴史のような事は二度と起こらず、パチンコ業界は今後、無くなっていく産業だということです。
それは個人の感想ではなく、下記に記載するギャンブル依存症対策基本法の一つ一つを読めば理解して頂けると思います。
最後に「まとめ」の部分で私の結論は述べるとして、流し読みでも結構ですので、下記の法律に目を通して頂けると幸いです。
ギャンブル依存症対策基本法は、四章と第三十六条と附則で構成されてますので、全てを読みたい方は、(ギャンブル依存症対策基本法)をご覧いただき、ここでは主旨をまとめていきたいと思います。
- 法律制定・施行
- 第一章 総則 第一条(目的)
- 第二条 (定義)
- 第三条 (基本理念)
- 第四条 (アルコール、薬物等に対する依存に関する施策との有機的な連携への配慮)
- 第五条 (国の責務)
- 第六条 (地方公共団体の責務)
- 第七条 (関係事業者の責務)
- 第八条 (国民の責務)
- 第九条 (ギャンブル等依存症対策に関連する業務に従事する者の責務)
- 第十条 (ギャンブル等依存症問題啓発週間)
- 第十一条 (法制上の措置等)
- 第二章 第十二条 (ギャンブル等依存症対策推進基本計画)
- 第十三条 (都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画)
- 第三章 基本的施策 第十四条(教育の振興等)
- 第十五条 (ギャンブル等依存症の予防等に資する事業の実施)
- 第十六条 (医療提供体制の整備)
- 第十七条 (相談支援等)
- 第十八条 (社会復帰の支援)
- 第十九条(民間団体の活動に対する支援)
- 第二十条 (連携協力体制の整備)
- 第二十一条 (人材の確保等)
- 第二十二条 (調査研究の推進等)
- 第二十三条 (実態調査)
- 第四章 ギャンブル等依存症対策推進本部 第二十四条(設置)
- 第二十五条 (所掌事務)
- 第二十六条 (組織)
- 第二十七条 (ギャンブル等依存症対策推進本部長)
- 第二十八条 (ギャンブル等依存症対策推進副本部長)
- 第二十九条 (ギャンブル等依存症対策推進本部員)
- 第三十条 (資料提供等)
- 第三十一条 (資料の提出その他の協力)
- 第三十二条 (ギャンブル等依存症対策推進関係者会議)
- 第三十三条 (ギャンブル等依存症対策推進関係者会議)
- 第三十四条 (事務)
- 第三十五条 (主任の大臣)
- 第三十六条 (政令への委任)
- 附 則 (施行期日)
- まとめ
法律制定・施行
平成30年制定、令和3年9月1日施行
第一章 総則 第一条(目的)
ギャンブル等依存症は、本人や家族の生活に支障を生じさせるもので、重大な社会問題を生じさせている。そこで、ギャンブル等依存症対策に関し、基本理念を定め、国や地方公共団体等の責務を明らかにする。
ギャンブル等依存症対策の基本となる事項を定めることで、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、国民の健全な生活の確保を図る。そして、国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。
第二条 (定義)
「ギャンブル等依存症」とは、公営競技、ぱちんこなどのギャンブルにのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいう。
第三条 (基本理念)
ギャンブル等依存症の発症、進行及び再発の各段階に応じた防止及び回復のための対策を適切に講ずる。ギャンブル等依存症である者等及びその家族が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるように支援する。
ギャンブル等依存症が、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の問題に密接に関連することに鑑み、これらの問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされるものとする。
第四条 (アルコール、薬物等に対する依存に関する施策との有機的な連携への配慮)
ギャンブル等依存症対策を講ずるに当たっては、アルコール、薬物等に対する依存に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされるものとする。
第五条 (国の責務)
国は、基本理念にのっとり、ギャンブル等依存症対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
第六条 (地方公共団体の責務)
地方公共団体は、基本理念にのっとり、ギャンブル等依存症対策に関し、国との連携を図りつつ、その地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
第七条 (関係事業者の責務)
パチンコメーカー、パチンコホールなどは、国及び地方公共団体が実施するギャンブル等依存症対策に協力するとともに、ギャンブル等依存症の予防等に配慮するよう努めなければならない。
第八条 (国民の責務)
国民は、ギャンブル等依存症問題に関する関心と理解を深め、ギャンブル等依存症の予防等に必要な注意を払うよう努めなければならない。
第九条 (ギャンブル等依存症対策に関連する業務に従事する者の責務)
医療、保健、福祉、教育、法務、矯正その他のギャンブル等依存症対策に関連する業務に従事する者は、国及び地方公共団体が実施するギャンブル等依存症対策に協力し、ギャンブル等依存症の予防等及び回復に寄与するよう努めなければならない。
第十条 (ギャンブル等依存症問題啓発週間)
国民の間に広くギャンブル等依存症問題に関する関心と理解を深めるため、ギャンブル等依存症問題啓発週間を設ける。
ギャンブル等依存症問題啓発週間は、5月14日から5月20日まで。
国及び地方公共団体は、ギャンブル等依存症問題啓発週間の趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努める。
第十一条 (法制上の措置等)
政府は、ギャンブル等依存症対策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
第二章 第十二条 (ギャンブル等依存症対策推進基本計画)
政府は、ギャンブル等依存症対策を図るため、基本的な計画を策定しなければならない。
ギャンブル等依存症対策推進基本計画に定める施策については、原則として、具体的な目標及びその達成の時期を定めるものとする。
内閣総理大臣は、ギャンブル等依存症対策推進基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
政府は、ギャンブル等依存症対策推進基本計画を策定したときは、遅滞なく公表しなければならない。
政府は、目標の達成状況を調査し、その結果を公表しなければならない。
政府は、ギャンブル等依存症に関する状況の変化を勘案し、調査の結果及び評価を踏まえ、少なくとも三年ごとに、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に検討を加え、必要があるときには、これを変更しなければならない。
第十三条 (都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画)
都道府県は、ギャンブル等依存症対策推進基本計画を策定するよう努めなければならない。
都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画は、医療法に規定する医療計画、健康増進法に規定する都道府県健康増進計画、アルコール健康障害対策基本法に規定する都道府県アルコール健康障害対策推進計画その他の法令の規定による計画であってギャンブル等依存症対策に関連する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。
都道府県は、当該都道府県におけるギャンブル等依存症に関する状況の変化を勘案し、調査の結果及び評価を踏まえ、少なくとも三年ごとに、都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画に検討を加え、必要があるときには、これを変更するよう努めなければならない。
第三章 基本的施策 第十四条(教育の振興等)
国及び地方公共団体は、国民がギャンブル等依存症問題に関する関心と理解を深め、ギャンブル等依存症の予防等に必要な注意を払うことができるよう、家庭、学校、職場、地域その他の様々な場におけるギャンブル等依存症問題に関する教育及び学習の振興並びに広報活動等を通じたギャンブル等依存症問題に関する知識の普及のために必要な施策を講ずるものとする。
第十五条 (ギャンブル等依存症の予防等に資する事業の実施)
国及び地方公共団体は、広告及び宣伝、入場の管理その他の関係事業者(パチンコホールなど)が行う事業の実施の方法について、関係事業者の自主的な取組を尊重しつつ、ギャンブル等依存症の予防等が図られるものとなるようにするために必要な施策を講ずるものとする。
第十六条 (医療提供体制の整備)
国及び地方公共団体は、ギャンブル等依存症である者等がその居住する地域にかかわらず等しくその状態に応じた適切な医療を受けることができるよう、ギャンブル等依存症に係る専門的な医療の提供等を行う医療機関の整備その他の医療提供体制の整備を図るために必要な施策を講ずるものとする。
第十七条 (相談支援等)
国及び地方公共団体は、精神保健福祉センター、保健所、消費生活センター及び日本司法支援センターにおける相談支援の体制の整備、その他のギャンブル等依存症である者等及びその家族に対するギャンブル等依存症問題に関する相談支援等を推進するために必要な施策を講ずるものとする。
第十八条 (社会復帰の支援)
国及び地方公共団体は、ギャンブル等依存症である者等の円滑な社会復帰に資するよう、就労の支援その他の支援を推進するために必要な施策を講ずるものとする。
第十九条(民間団体の活動に対する支援)
国及び地方公共団体は、ギャンブル等依存症である者等が互いに支え合ってその予防等及び回復を図るための活動、その他の民間団体が行うギャンブル等依存症対策に関する自発的な活動を支援するために必要な施策を講ずるものとする。
第二十条 (連携協力体制の整備)
国及び地方公共団体は、医療機関その他の医療機関、精神保健福祉センター、保健所、消費生活センター、日本司法支援センターその他の関係機関、民間団体等の間における連携協力体制の整備を図るために必要な施策を講ずるものとする。
第二十一条 (人材の確保等)
国及び地方公共団体は、医療、保健、福祉、教育、法務、矯正その他のギャンブル等依存症対策に関連する業務に従事する者について、ギャンブル等依存症問題に関し十分な知識を有する人材の確保、養成及び資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。
第二十二条 (調査研究の推進等)
国及び地方公共団体は、ギャンブル等依存症の予防等、診断及び治療の方法に関する研究、ギャンブル等依存症問題に関する調査研究の推進、成果の普及のために必要な施策を講ずるものとする。
第二十三条 (実態調査)
政府は、三年ごとに、ギャンブル等依存症問題の実態を明らかにするため必要な調査を行い、その結果を公表しなければならない。
第四章 ギャンブル等依存症対策推進本部 第二十四条(設置)
ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、ギャンブル等依存症対策推進本部を置く。
第二十五条 (所掌事務)
・本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
ギャンブル等依存症対策推進基本計画の案の作成及び実施の推進に関すること。
関係行政機関がギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づいて実施する施策の総合調整及び実施状況の評価に関すること。
ギャンブル等依存症対策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関すること。
・本部は、次に掲げる場合には、あらかじめ、ギャンブル等依存症対策推進関係者会議の意見を聴かなければならない。
ギャンブル等依存症対策推進基本計画の案を作成しようとするとき。その結果の取りまとめを行おうとするとき。
第二十六条 (組織)
本部は、ギャンブル等依存症対策推進本部長、ギャンブル等依存症対策推進副本部長及びギャンブル等依存症対策推進本部員をもって組織する。
第二十七条 (ギャンブル等依存症対策推進本部長)
本部の長は、ギャンブル等依存症対策推進本部長とし、内閣官房長官をもって充てる。
第二十八条 (ギャンブル等依存症対策推進副本部長)
本部に、ギャンブル等依存症対策推進副本部長を置き、国務大臣をもって充てる。
第二十九条 (ギャンブル等依存症対策推進本部員)
本部に、ギャンブル等依存症対策推進本部員を置く。本部員は、次に掲げる者をもって充てる。
国家公安委員会委員長、特命担当大臣、総務大臣、法務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣
第三十条 (資料提供等)
関係行政機関の長は、本部の定めるところにより、本部に対し、ギャンブル等依存症に関する資料又は情報であって、本部の所掌事務の遂行に資するものを、適時に提供しなければならない。
関係行政機関の長は、本部長の求めに応じて、本部に対し、本部の所掌事務の遂行に必要なギャンブル等依存症に関する資料又は情報の提供及び説明その他必要な協力を行わなければならない。
第三十一条 (資料の提出その他の協力)
本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、地方公共団体、独立行政法人、及び地方独立行政法人の長並びに特殊法人の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
第三十二条 (ギャンブル等依存症対策推進関係者会議)
本部に、第二十五条第二項に規定する事項を処理するため、ギャンブル等依存症対策推進関係者会議を置く。
第三十三条 (ギャンブル等依存症対策推進関係者会議)
関係者会議は、委員二十人以内で組織する。関係者会議の委員は、ギャンブル等依存症である者等及びその家族を代表する者、関係事業者並びにギャンブル等依存症問題に関し専門的知識を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。関係者会議の委員は、非常勤とする。
第三十四条 (事務)
本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。
第三十五条 (主任の大臣)
本部に係る事項については、主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
第三十六条 (政令への委任)
この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則 (施行期日)
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
本部については、この法律の施行後五年を目途として総合的な検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。
この法律は、令和三年九月一日から施行する。
まとめ
ギャンブル依存症者は、日常生活や社会生活に支障が生じる病気であり、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の問題に密接に関連することから、国や地方公共団体、パチンコメーカー、パチンコホールなどの事業者、そして国民が責務を負う法律が定められたことが分かりました。
国内のギャンブル依存症者320万人の8割以上は、パチンコ・パチスロユーザーという実態調査からすると、実質的に「ぱちんこ」が問題視されたと受け止めることもできます。
実際に、ギャンブル依存症対策基本法が制定されてから、パチスロは新基準機への移行が進み、今現在ではパチスロユーザーが激減し、多くのパチンコ店が閉店や廃業(令和4年1月度100件以上)をしている現状があります。
しかし、パチンコ機も同じように新基準機への移行が進みましたが、それでも「1時間当たりの出玉スピードが今までよりも早い」などの煽り文句が飛び交い、未だパチンコ業界は射幸心を煽る演出を続けています。
法律に国民の責務が明示されている以上、私たちの実体験や感想、意見をしかるべき場所に伝えていく事が必要なのではないかと思うのです。
それは、ギャンブル依存症者(パチンコ・パチスロ依存症者)やパチンコユーザーの双方からあって良い物だとも思います。もちろん、パチンコ業界の事業者なども、自分たちの業界を守るため積極的に意見や要望を言ってくるでしょう。
だからこそ、ギャンブル依存症対策基本法がしっかりと役割を果たすように、例えば、私であればギャンブル依存症者の立場として、意見や要望を言っていく行動が自らをも助けることになると考えるのです。
例えば、
- 公共の電波でパチンコのCMを流さないでほしい
- 駅構内などにパチンコの広告は規制してほしい
- パチンコ屋の広告チラシは規制してほしい
- パチンコ店の営業区域に規制を設けてほしい
- 営業時間を短縮してほしい
- ギャンブル等依存症問題啓発週間の5月14日から5月20日は、公営ギャンブル及びパチンコホールの営業は自粛するべきだ
などです。
政府のギャンブル依存症対策推進本部で「ギャンブル等依存症対策推進基本計画(案)」に対する意見募集を行っていますので、皆さんも意見を寄せてみてはどうでしょうか。
また、自分が住む地域の地方公共団体も責務が課せられているので、そこにも意見を伝えることもできます。
最後になりますが、ギャンブル依存症者の人たちが住みやすい社会、今後、同じような病気に罹患しづらい社会になることを心から願っています。
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