【裁判】ギャンブルへの強い嫌悪感が背景…幼少期にパチンコで負けた父親から虐待…懲役4年の判決

https://ganbulingaddiction.com/2024/07/15/news/(新しいタブで開く)ニュース

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2023年6月、糸満市に住む当時73歳の男性の首元をはさみで切り付けたとして、殺人未遂などの罪に問われた滋賀県の無職の被告(38)の裁判員裁判の判決で那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)は11日、懲役4年(求刑懲役7年)を言い渡した。

佐藤裁判長は判決理由で、被告の犯行の背景として、幼少期にパチンコで負けた父親から虐待され、父親のギャンブルが原因で両親が離婚したことなどからギャンブルへの「強い嫌悪感」があったと指摘した。

被害男性と父親の賭けマージャンを止めさせるために犯行を及んだことに「同情しないではない」としながらも、「無関係な被害者を傷付けるとの判断」は「身勝手で浅はかなもの」と判示した。

犯行時、飲酒のため酩酊(めいてい)状態だったことが与えた影響については「強いものであったとは認められない」と刑事責任能力を認めた。

琉球新報(2024年7月15日)

何とも胸が痛くなるようなパチンコにまつわる事件です…。父親ではなく、父親の賭け麻雀の相手をはさみで切りつけたところにも、被告の複雑な感情が垣間見れるのではないでしょうか。

幼少期に、パチンコで負けた腹いせに虐待をした父親なんですから、本来は父親を恨み、その矛先が向いてもおかしくありません。ですが、そうならなかったのは、被告にとっては「パチンコで負けた時」以外は優しい父親だったからではないでしょうか。

恐らく、被告の父親はギャンブルが原因で虐待や離婚をしているわけですから、ギャンブル依存症を患っている可能性が高いと思われます。私が知りあったギャンブル依存症者の人たちの中にも、虐待や離婚を経験した人がいるわけですが、多くの人たちが「ギャンブルが起因となる行動」を除けば、凄くまともであり、むしろ突出した才能をもっている人さえいたのです。

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被告は尊敬できる父親の一面を知っているからこそ、38歳という年齢に至るまで父親との関係を絶たなかったのだと思うのです。それと同時に、被告は幾度となく父親のギャンブルを止めようと試みていたのではないでしょうか。

また、被告の父親も「自分がギャンブル依存症であること」を自覚しており、何度もやめようともがいていたと思うのです。そのギャンブルがやめられずに苦しむ姿を知っている被告は、賭け麻雀を誘う被害者を許すことができずに犯行に及んでしまったと感じます。

パチンコなどのギャンブルが起因となる犯罪報道を見る度に思うことは、日本は世界で最もギャンブル依存症者が多い国であるにもかかわらず、ギャンブル依存症対策が不十分であり、ギャンブル依存症が未だ病気だと広く認知されていないという事です。

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被告の父親も被告も、ギャンブル依存症とは何か、ギャンブル依存症を患ったらどうすればよいか、それを理解していれば、他の選択肢がもっとあったと強く感じるのです。私のまわりでも、未だにギャンブル依存症を病気と認めていない人がいたり、自分の意志だけで治せるものだと信じて疑いないという人が存在するわけです。

ましてや、ギャンブル依存症が公的保険適用の病気あることも、ギャンブル依存症対策基本法という法律があることも知る訳がありません。これが現実であり、パチンコに公営ギャンブル、そして今後はカジノです…。日本は世界に誇れるものがもっと他にもあるにも関わらずです。

言うまでもなく、如何なる理由があったとしても人に危害を加えることは許されることではありません。しかしながら、根本的な教育や対策が不十分であれば、こういった事案は決してなくなることはなく、人の不幸の上に幸福を築くような社会、人の犠牲をもって富を作る社会という風土は変わることなく、国民の幸福度も向上することもないと考えます。

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